2022年08月05日23時08分掲載  無料記事
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農と食

映画『ネオニコの壊した生態系』

 ARTE(ランス語およびドイツ語で放送される、独仏共同出資のテレビ局)でネオニコと生態系破壊をテーマにしたドキュメンタリーが最近まで無料公開されていました。タイトルは『ネオニコの壊した生態系』。欧州中心に描かれていますが、米国の研究者に加え、日本の研究者や宍道湖の例が描かれています。(有機農業ニュースクリップ) 
 
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 『ネオニコの壊した生態系』(仮) 
  2021年/フランス・ベルギー/93分 
  原題:How Chemical Giants Destroyed our Ecosystem 
  監督:シルヴァン・ルプティ、アラマキミユキ、 
     セバスチャン・セガ 
  https://www.arte.tv/en/videos/098073-000-A/how-chemical-giants-destroyed-our-ecosystem/ 
 
化学の巨人たちが生態系を破壊した理由。1990年代以降、昆虫の総バイオマスは75%減少しました。この急激な減少は、すべての食物連鎖に影響を及ぼし、魚や鳥が食べるものを十分に見つけることができなくなり、どんどん数が減っている。農薬に使用されるネオニコチノイドは、昆虫の個体数を減少させるだけでなく、人間の健康にも影響を与えることが研究により明らかにされています。 
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 この作品には、現在のバイエルクロップサイエンス(旧日本特殊農薬製造株式会社)の研究者で、イミダクロプリドを開発した利部伸三(かがぶ しんぞう)氏の証言と、宍道湖のワカサギの激減の原因が1993年に使い始められたイミダクロプリド剤であることを明らかにした山室真澄・東大教授の証言が出てきます。ナレーションによれば、利部氏は、この作品で初めて外国人記者の取材に応じたとのことです。宍道湖の漁協幹部で島根県議会議員の福田正明氏も証言者として登場します。 
 
 利部氏は次のように語っています。 
 
「既成の殺虫剤の何百倍も効くんですね。それを検査する人が、最初検査した時に、「間違ったんじゃないかと、濃度を。そして何回も検査して、何回も何回も薄めても効くと。これな何かなるかなぁと思って、その晩は眠れなかったですね。うちの女房に「やったぞ!」って言って」 
 
「撒いてから4カ月くらい効きますから。後から、虫が出たからと云って撒く必要ないですね。少しずつ吸われて上がってきますので。 
浸透移行性がありますから、薬は根元にしかないですね。こうやって撒くと10分の1くらいしか根元に来ないですけれど。ですから非常に能率がいいと。作業が簡単になって、能率がいいと、よく効くと。」 
 
「農薬を使ってて、散布中に死亡した人は、今までいないですね。人間を一番大事に考えないといけないと思います。」 
注:ネオニコのことに限定しているように思われる。 
 
 2019年11月に衝撃的な論文でイミダクロプリド剤によるワカサギ激減を明らかにした山室真澄氏は次のように語っています。 
 
「水温の変化もない。塩分の変化もない。いろんな過去の記録をみていくと、ちょうどネオニコチノイドを使った時だったんです。イミダクロプリドが、最初に水田用のが登録されたのが1992年11月。初めて水田に使われたのは、1993年のゴールデンウィークなんですね。使われたとたんに、動物プランクトンがガタっと減りました。」 
 
「ネオニコチノイドは、水溶性で、植物の身体に浸透していって、そして植物を食べた害虫が死ぬ。」 
 
 注:山室氏らの研究論文 
・Science, 2019-11-1 
Neonicotinoids disrupt aquatic food webs and decrease fishery yields 
https://science.sciencemag.org/content/366/6465/620 
 
・産総研, 2019-11-1 
ウナギやワカサギの減少の一因として殺虫剤が浮上 
https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2019/pr20191101/pr20191101.html 
 
 そして、山室氏は、研究の動機を次のように語っています。 
 
「私は、なぜ、水を、環境の生物と農薬の関係を、除草剤にしてもそうですが、調べているかというと、本当は人間に影響があるからなんですね。日本で精神的な疾患による行動異常というのは1993年から、ガーっと増えていますね。」 
 
 山室氏は、1993年以降に神経系の疾患が増加した根拠について、自身のサイトで次のように述べています。 
 
「ネオニコ使用開始以降、日本の子供の精神疾患が増えている」と発言した根拠のひとつは下図です。環境省がエコチル調査を行う必要性の説明として、当時、公開していたものです(今は公開されていません)」 
https://www.m-yamamuro.com/entry/2022/06/26/142406 
  ※閲覧注意 
 
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 バイエルクロップサイエンス沿革 
 1941年 
 日本特殊農薬製造株式会社設立(イーゲー・ファル 
 ベン社(独)との資本技術提携) 
 1991年 
 日本バイエルアグロケム株式会社に社名変更 
 (バイエル出資比率53%) 
 1992年 
 初めてとなるネオニコ系イミダクロプリド剤発売 
 2002年 
 バイエル クロップサイエンス株式会社設立 
 (日本バイエルアグロケムとアベンティス クロッ 
  プサイエンス シオノギ統合) 
 2020年 
 日本モンサント株式会社の事業を統合 
 
 ・バイエルクロップサイエンス 沿革 
  https://cropscience.bayer.jp/ja/home/corporate/history/ 
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有機農業ニュースクリップ 
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