2022年10月22日21時38分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=202210222138496

人権/反差別/司法

マイナンバーカード普及のための健康保険証の廃止に反対します 市民団体が声明

 市民への権力による監視社会に反対する「共謀罪NO!実行委員会」、「秘密保護法」廃止へ!実行委員会は「マイナンバーカード(以下マイナーカード)普及のための健康保険証廃止に反対」する声明を出しました。政府はマイナーカード普及のためにカードに健康保険証を紐づけして、24年秋までに健康保険証を廃止するとしています。マイナーカードを持たないものは医院・病院にかかれないということを意味します。それは同時に、本来任意であるはずの 
マイナンバーカード取得を市民に強制することを意味します。あり緩個人情報をすべてマイナーカードに紐付けに、市民を監視する第一歩となるこの方針に声明は厳しく反論しています。(大野和興) 
 
以下、声明を紹介します。 
 
 
マイナンバーカード普及のための健康保険証の廃止に反対します 
 
2022年10月20 
共謀罪 NO !実行委員会 
「秘密保護法」廃止へ!実行委員会 
 
  10月13日、河野デジタル大臣は岸田首相と会談後 、マイナンバーカード普及のために2024年秋までに健康保険証を廃止し、そのかわりにマイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」を発行することを明らかにしました。その理由は「健康保険証があるからみんなマイナンバーカードをもたない 」( 10月14日東京新聞 ) というものです 。 
 私たちはこのような暴言、暴挙を絶対に許すことはできません。岸田政権は、健康保険証廃止の方針を直ちに撤回すべきです。 
 
健康保険証がマイナンバー普及の邪魔!? 
 
 いったい、岸田政権は何を考えているのでしょうか。マイナンバーカード(以下、マイナカードと略)の普及がいまだに49パーセントと低いのは、制度に問題が多いからです。2016年1月、マイナカードの交付が開始されました。しかし、その普及は遅々として進まず、業を煮やした政府は、2020年9月同カードの申請者にポイントを付与するという利益誘導で申請者数を増やそうとしました。しかし、それでもうまくいかず、本年6月から第二弾のポイントの付与を開始し、やっと9月末段階で普及率が49.0パーセントに達した状況です。政府は2023年3月までに市民の大半にマイナカードを普及することを目標としてきましたが、それは程遠いものになっています。こうした現実の前に、政府は紙の健康保険証をなくせば、市民はマイナ保険証を取得するだろうと考えたのです。なんという姑息なやりかたでしょうか。 
 
 そもそも多くの市民がマイナカードの申請に躊躇している大きな理由は、登録した個人情報の漏洩への危惧によるものです。マイナカードには、市民のさまざまな情報がとりこまれています。多くの市民は、同カードから、プライバシー、個人情報がもれることを恐れているのです。だから、ポイント付与の利益誘導にもかかわらず、マイナーカードの普及率が急激にふえないのです。 
 
いのち、健康よりマイナカード 
 
 政府は、いのちと健康にかかわる健康保険証の廃止という脅しをかければ、市民は病院にいくためにはマイナ保険証に切り替えるだろうと考えています。これは、マイナカードを取得しない市民は病院にいくなということを意味します。死ねということに等しいものです。 
 そもそもマイナカードの取得は、本人による申請が前提でした。しかし、マイナカードを市民の大半にいきわたらせるという目標を実現できないことが明らかになるなかでついに紙の健康保険証の廃止という方針に踏み切ったのです。これは、マイナカードは選択制ではなく、取得は義務と宣言したに等しいものです。 
ついに、政府はマイナカードについての説明が嘘とペテンであったことを自ら認めたのです。 
 
個人情報の国家管理を狙う 
 
 ついにマイナーカードの狙いが明らかになりました。政府は、デジタル社会の軸にマイナカードを位置付けているのです。マイナンバー(共通番号)とは、住民登録した市民一人一人につけられた重複のない生涯不変の12桁の番号のことです。これに、所得関連情報、健康保険や年金情報、給付情報などさまざまな情報が紐づけされています。マイナンバーは国により市民全員に強制的につけられ 
ますが、マイナンカードは本人の申請による選択制とされてきました。今回の政府決定は、健康保険証を廃止することで、市民全員にマイナカードを強制し、デジタル社会の軸にすえ、国家による市民の個人情報の管理への道を開こうとするものにほかなりません。 
 私たちの命、健康、プライバシーを守るために、健康保険証の廃止に反対します。 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。