2022年10月25日20時52分掲載  無料記事
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中東

【AIニュース】イラン:残虐なデモ鎮圧で子ども23人以上が犠牲に

  イランで22歳のマフサ・アミニさんが拘束中に死亡したことに端を発したデモで、9月20日から9月30日までに少なくとも子ども23人が治安部隊に殺害されたことが国際人権団体アムネスティの調査でわかった。アムネスティは、亡くなった23人の名前と死亡状況を調べて発表した。犠牲者の内訳は、11歳から17歳の少年20人と少女3人だった。ほとんどの少年は実弾を受けて、4人は殴打されて亡くなった、拡大するデモに対する弾圧の容赦ない姿勢を浮き彫りした。抗議デモは、多くの市民が呼ぶ「イスラム共和国体制に対する大規模蜂起」に発展していた。アムネスティ国際ニュースが伝えるイラン治安部隊による子ども虐殺の実態をお伝えする。(大野和興) 
 
アムネスティはこれまでに、9月19日から10月3日まで治安部隊に殺害された男女と子ども144人の名前も確認している。全死者数のうち子どもが16%を占める。これらの犠牲者は、アムネスティがこれまでに名前を確認できたものだけだ。今後の調べで死者数はさらに増えるとみられる。 
 
イラン当局は、武力の停止、市民の違法な殺害、強制失踪、拷問などの責任者の訴追を求める声を無視してきた。国による組織的な不処罰の代償が、子どもたちを含む人命で支払われている。 
 
国連人権理事会の加盟国は緊急に特別会合を開き、イラン当局による違法な殺害を調査し、責任を追及する国際的な機構を設置する決議を採択すべきだ。 
 
アムネスティが把握した子どもの犠牲者のうち10人は、抑圧を受ける少数民族バローチ人だった。今回、全国デモが広がってから最も多数の死者を出した、南東部シスタン・バルチスタン州の州都ザヘダンでの9月30日のデモ弾圧でのことだった。アムネスティが入手した証拠によると、少なくとも7人は、心臓や頭などに銃弾を受けた。11歳の少年の頬には、後頭部から入った銃弾の貫通跡が残っていた。 
 
残る13人の子どもは、テヘラン(5人)、西アゼルバイジャン(4人)、アルボルズ(1人)、ケルマンシャー(1人)、コフギールーイェ・ブーイェル=アフマド(1人)、ザンジャーン(1人)の州で殺害された。 
 
◆嘘の情報を拡散する当局 
 
9月21日にテヘラン州で殺害された少年の弁護士は10月7日、少年の死因を「高速で移動する発射体が命中し、出血と脳組織が破壊された」とする埋葬証明書の写しをインターネット上に公開した。同弁護士は、「子どもの死を自殺とする当局者の発言が増えているため、この公文書を公開する責任を感じた」と説明した。 
 
9月28日のテヘランでの抗議デモで、胸に銃弾を受けて亡くなった17歳の少年の父親は、当局から息子は車の事故で亡くなったと説明する動画を投稿するように言われ、「従わなければ、娘の命はない」と脅された。16歳の少女2人が殴り殺された家族は、「娘たちは屋上から飛び降り自殺を図ったと説明しろ」と脅迫された。 
 
イランの反政府デモで当局による殺害が多発する背景には、治安部隊が国際法上の最も重大な罪を犯しても罪に問われることがなく、国連人権理事会から強い批判を受けることもなかったことがある。 
 
最も重大な国際法上の犯罪の証拠を、刑事手続上の一般基準に基づき収集、分析し、容疑者の捜査と訴追を支援する国際的な仕組みが早急に求められている。 
 
イラン当局は、子どもたちの殺害に手を染めてきた事実を隠蔽するために、犠牲者家族への嫌がらせや脅しに余念がない。この卑劣な手法は、当局による弾圧の規模と悪行を一層際立たせるとともに、真実と正義を追及する道が国内では閉ざされている事実をあらためて示している。 
背景情報 
 
これまでもイラン当局は、抗議する人たちに銃口を向けるなどの違法な力の行使で数百人の命を奪ってきた。2019年11月の反政府デモでは、少なくとも21人の子どもを含む数百人が犠牲になった。 
 
アムネスティ国際ニュース 
2020年10月13日 


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