2022年11月16日01時22分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=202211160122273

検証・メディア

フランスのTV 左派議員と司会者が大富豪の番組提供者の行動に関して激突 名誉棄損の提訴と大富豪のメディア介入に対する国会調査委員会の設置を提案

  11月10日、フランスのTPMP(僕のポストに手を付けるな)という人気番組に登場した左派政党「服従しないフランス(LFI)」の議員、ルイ・ボヤールが番組司会者のシリル・アヌーナと突然、大口論を始めた。きっかけとなったのは、オーシャン・バイキング号という234人の難民を乗せた船が地中海を渡ってアフリカから欧州南部のフランス、イタリア、スペインなどに接岸を求めているが、受け入れられることなく海上を漂っていることが話題になったことだ。この時、ボヤール議員がアフリカで大儲けをしながらアフリカを貧しくしているとして、大富豪のヴァンサン・ボロレの名前を挙げた。ボロレはTPMPのスポンサーであり、C8チャンネル(Canal+のグループ)のオーナーでもあることから、司会のアヌーナが「金をくれる人をお前は批判するのか?」と議員に対して挑みかかった。これに対してボヤール議員も負けじと口論となり、ほとんど二人の罵倒が数分間続く、というハプニングとなった。そして、結局ボヤール議員はマイクを外してステージから去っていった。 
 
  後にボヤール議員はアヌーナに対して名誉棄損で訴えたほか、国会に対しては、ヴァンサン・ボロレのメディアへの介入について調査する委員会の設置を求めた。この問題は、以前から指摘されてきたフランスメディアが大資本グループに支配されている、ということを改めて思い出させた。これについては「新しい番犬たち」というドキュメンタリー映画が2012年にフランスで封切られたことを思い出す。これはフランスメディアでいかに大資本がフランスメディアの「言論人」たちに影響を与えているかを描写したもので、極めてパンチの富む傑作なのだ。特に、メディアで頻繁に出てくる御用文化人たちに対する追及は鋭い。しかも、この脚本を書いているチームの一人はセルジュ・アリミというフランス屈指のジャーナリストである。タイトルはポール・ニザンが書いた小説のパロディである。 
 
ドキュメンタリー「新しい番犬たち」の予告編 
https://www.youtube.com/watch?v=hL52vf1ynFg 
 
 
■生誕300周年 今も絶大な人気があるドニ・ディドロ 〜啓蒙思想家にして、風刺漫談作家〜 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201310200550420 
 
■地域の子供に無料の作文教育を 子供の教育を変えたサンフランシスコの ”826 Valencia” , One-on-one tutoring can help students make great leaps in their writing skills and confidence. 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201702080540363 
 
 
■私はなぜ刑務所の民営化と闘ってきたか  元受刑囚で「刑務所法律ニュース」のジャーナリストに聞く  Interview : Alex Friedmann , Managing Editor of "Prison Legal News." 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201612081813454 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。