2022年12月29日16時49分掲載  無料記事
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コラム

野党完全勝利までの道のり 4 野党は国民を幸せにしようとなどと訴えてはいけない   南田望洋

  野党勝利まで長い道のりである。様々な障壁が二重三重に立ちふさがる。しかし、最も大きな障壁は、幸せになりたくない日本人のメンタリティにある。幸せになりたくない、というのは子供のころから滅私奉公を文化的に植え込まれているため、「自分の幸せ」の追求ということに後ろめたい気がしてしまうのだ。そのことが生活保護申請へのためらいや、他者の支援の受け入れに対する心の障壁となっている。賃上げへのためらいやストライキへのためらいになっている。さらに革命への恐怖の源になっているのだ。私は、これを仮に「特攻症候群」と名付けたい。自分が幸せになるくらいなら、企業や政府、自治体のために命を投げ出すメンタリティである。昔から日本人は子供時代からこのような物語をたくさん読まされてきて、そういう精神の土台が出来上がっているのである。したがって、有権者からどこまでも奪う自民党の政治と日本国民は相性が良い。そして、日本国民もそれで幸せとも言えるのだ。 
 
  ところが近代思想を学ぶと、特攻症候群では個人もダメになるし、国家も発展しないことが明快になる。人命を大事にしない国は、無駄が大きいのだ。では、野党が日本国民と与党との「幸福な癒合」を引きはがして、近代の楔を入れ、政権交代を起こすには何が必要なのか?「特攻症候群」の鋳型を使いまわして、その中に近代を入れる最中にしてしまえばよいのだ。外観は滅私奉公の厳しさでビシビシ来るので、国民にとってはこれ以上ないご馳走に見えるのだが、中には意外にも生活が豊かになる政治が入っている最中である。だから、簡単に皆様を豊かにする、幸福にする、などと言わないことだ。厳しい外観の「皮」を作ることが大量に潜在する特攻症候群の有権者の心をつかむには大切だ。実は、アメリカのケネディ大統領ですら「国が諸君に何をしてくれるかと問いたもうな。諸君が国に対して何をできるかを問いたまえ」と厳しい皮の言葉で語りかけた。 
 
  いずれにせよ、自分が望んだわけではなかったけど、結果的に暮らしが豊かになり、意外にも幸せになっていた。幸せって驚いたけど、いいもんだったんだな、という展開を野党は目指すべきなのだ。近代化はその後でもできる。 
 
 
 
南田望洋 


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