2023年01月13日00時45分掲載
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入管
次期通常国会への入管法改正案提出に反対 遺族らが会見
政府が、次期通常国会で一昨年廃案となった入管法改正案の骨格を維持した法案を再提出する方針を固めたことを受け、名古屋の入管施設内で収容中に亡くなったスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさんの遺族らが、都内で記者会見を行った。会見では、ウィシュマさんの妹であるポールニマさんが「姉は適切な治療が受けられずに入管に見殺しにされた。制度を変えなければ同じような犠牲者が出る」と、政府法案に反対する意思を示した。
日本の入管制度は、被収容者の収容期限に上限を設けない無期限収容であることから、適切な期限を設けるよう、国際機関などから度々指摘を受けてきた。新法案でも、無期限収容の方針は変わらないと見られ、これについてウィシュマさんのもう一人の妹であるワヨミさんは、「姉が無期限に収容されていたのはおかしい。入管は収容されている人たちを人間として扱っておらず、このままでは姉のように入管施設内で命を落とすのが、当たり前のことになってしまう」と、政府の収容方針に抗議の声を上げた。
政府が2021年に国会に提出して廃案となった入管法改正案では、難民申請中の強制送還を停止する「送還停止効」を制限し、「監理人」の監督下における入管施設外での生活を可能とする「監理措置制度」の創設などが柱とされていた。新法案にもこれらの改正点が含まれることから、駒井知会弁護士は「難民が適切に保護されないまま、送還停止効を外すということは人が死ぬということである。それを、見過ごすことはできない」と、その問題点を指摘した。また、指宿昭一弁護士は「入管は、監理措置制度があるから全件収容ではないと主張したいのであろうが、監理措置制度が作られても実態は何も変わらない。言葉だけ作って、変わっていないことを変わっているかのように見せているだけである」と、警鐘を鳴らした。
2021年に入管法が廃案となった際には、多くの若者を中心とした市民が国会前に集まり、入管法改正案の成立に反対の声を上げた。入管法の改悪に反対する市民を中心とした取り組みとして、今後、入管の民族差別・人権侵害と闘う全国市民連合で、全国一斉アクションの実施を予定しているという。
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