2023年02月07日22時00分掲載
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中東
シリア、巨大地震被災救援でイスラエルに反発 「地震の惨事を拡張主義に利用」
トルコとシリアを2月6日に襲ったマグニチュード7.8の大地震の援助をめぐり、シリアがイスラエルのネタニヤフ首相の発言に大反発している。Middle East Monitor によると、ダマスカス(シリアの首都)がテリアビブ(イスラエルの首都)に救援を要請したと、ネタニヤフ首相が語ったが、そんなことはありえないとシリア政府の情報筋が断固否定したというのだ。このことを報じた地元紙アル・ワタンは、もしネタニヤフがそのような要請を受けたとするならば、それはシリア政府に歯向かっているテロ組織かその同盟者からのものであり、「ネタニヤフ首相が占領軍の拡張主義的で攻撃的な政策を隠蔽するために、シリアを襲った地震の大惨事を利用するのは不名誉なことだ」と、情報筋の言葉を伝えている。
(大野和興)
アル・ワタン紙によると、複数のシリア政府筋もネタニヤフ首相の主張を否定している。イスラエルのメディアで発表されるものはすべてネタニヤフによる「プロパガンダキャンペーン」であると語った。
シリアでは反体制派との間で長い間内戦状態が続いている。その一方で1967年の第3次中東戦争でイスラエルがシリアから奪って占領し、そのご併合したゴラン高原にイスラエルは自国民の入植を進めている。同時にイスラエルは、イランがシリアで勢力を伸長するのをけん制するために、頻繁にシリアに空爆を仕掛けている。「ネタニヤフ首相が占領軍の拡張主義的で攻撃的な政策を隠蔽するために、シリアを襲った地震の大惨事を利用するのは不名誉なことだ」とアル・ワタン紙が伝えるシリア政府筋の話はそのことを指している。
一方、イスラエルのネタニヤフ首相は6日の演説で、地震の震源地であるトルキエに援助を送るよう命じたと述べた。「シリアの地震の多くの犠牲者のためにも行うよう要請があったため、これも行うよう指示した」と、人道支援に乗り出していることを強調している。
複雑な政治構造の元で起こった今回の大地震。被災者救援に影響が及ばないことを祈るばかりだ。
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