2023年02月23日19時41分掲載
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アジア
麻生副総裁らへのミャンマー国軍トップの叙勲、岸田首相「事実認識していない」
日本ミャンマー協会の渡邉秀央会長(元郵政相)と自民党の麻生太郎副総裁(同協会最高顧問、元首相・財務相)がミャンマー国軍のミンアウンフライン総司令官から叙勲されたことが、22日の衆院予算委員会で取り上げられた。立憲民主党の源馬謙太郎議員の質問に対して、岸田文雄首相は「政府としてその事実を認識しておらず、従って答弁を控えたい」と答えた。同議員は、バゴー橋建設事業で日本の政府開発援助(ODA)資金が国軍系企業に流れているとされる問題についても政府の見解を質したが、納得のいく説明は得られなかった。(永井浩)
渡邉、麻生の両氏は、ミャンマー国軍の最高意思決定機関である国家統治評議会の議長を務めるミンアウンフライン総司令官から、同国の発展と繁栄、平和構築に貢献したとして名誉称号と勲章を授与された。21日の国営紙グローバル・ニューライト・オブ・ミャンマーによると、麻生氏は式典に出席せず、渡邉氏が自身と麻生氏の称号と勲章を受け取った。渡邊氏はスピーチで、両国の友好関係のさらなる促進に貢献していきたいと話した。麻生氏は渡邉氏を通じて、総司令官に感謝の意を表明した。
▽「ODAが国軍の資金源に」
バゴー橋建設をめぐる質疑は以下のとおり。
源馬議員:我が国の税金がミャンマーの軍系企業に流れているという問題。バゴー橋建設事業の資材調達等は総額700億円程度のODAで、2022年7月から2023年1月にかけて約200万ドル(2.6億円)が一次コントラクターの日系企業のY社(注)から、軍保有企業のMEC(ミャンマーエコノミック・コーポレーション)に支払われ、国軍の資金源になっているが、その原資は当然日本国民の税金である。MECはEU,米国、英国などからの制裁対象だがそのミャンマー国軍保有企業に日本の税金が流れていることをどう考えるか。
岸田首相:主契約企業とその下請けであるMECとの間で締結された契約上、解約には多額の違約金が生じる。従って国軍系企業のMECへの支払いは最小限に留めることにしたい。
源馬:では違約金はいくらなのか政府は把握しているのか。
林外相:手元に資料がないので後日確認して報告する。
源馬:外務省に確認したら、契約内容自体を把握しておらず、従って違約金が実際に発生するか承知していないという回答だった。
林:主契約企業(Y社)から多額の違約金がかかるという話だった。
源馬:それなら相手が言ってきたことをそのまま鵜呑みすることで、政府として契約内容をしっかり把握して、対応を再検討すべきではないか。
岸田:実態を把握したうえで適切に対処すべきだと考える。
源馬:一方でロシアに制裁を加えながら、ミャンマー国軍には資金支援しているのでは国際社会からとうてい理解を得られない。
(注)源馬議員は企業名を伏せているが、国際人権団体・ヒューマンライツウォッチは「横河ブリッジ」と明らかにしている。
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