2023年03月25日22時36分掲載
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検証・メディア
マクロン大統領の独占インタに「それは嘘」と大手労組事務局長が抗議
マクロン大統領の年金制度改正案ごり押しに国民が怒って通りに繰り出している状況を前に、マクロン大統領の言い訳独占インタビューを3月22日にフランスのテレビTF1が放送したことを書きました。その様子が安倍首相にペラペラ言いたい放題話させたNHKとそっくりだったことも指摘しました。これを見た大手労組CFDTの事務局長が「それは嘘」と抗議しています。以下が、それが報じられたラジオフランスの記事です。これを見ると、フランスのテレビが忖度報道局となって安倍チャンネル化しているとしても、ラジオはまだ健全な印象です。
■ラジオフランスの記事 労組委員長が抗議
https://www.radiofrance.fr/franceinter/reforme-des-retraites-contrairement-a-ce-que-dit-emmanuel-macron-les-syndicats-ont-fait-des-propositions-7176285?fbclid=IwAR0OZ24cRIXaGOVg3UVEGo8XbgvfaQgpSCX461anzfDijLDo-ATvAc-i7mc
労組CFDT(組合員は民間企業労働者がおよそ半分を占め、約87万人)のロラン・ベルジェ事務局長は、TF1の大統領インタビューを見た後、<労組は政府の年金制度改正案に対して代替案を提出したし、自分は年金掛け金の支払期間の延長には賛成していない>と抗議しました。このまま、発言が真実だと視聴者に思われたら、組合員たちに示す顔がなくなってしまうでしょう。しかも、記事によると、2022年末にCFDTだけじゃなく、CGTやその他の労組も妥協案を発表したとのこと。ただし、それらはいずれも受給開始年齢を引き上げない案であることでは共通だったとされます。
■マクロン大統領の独占インタビュー(TF1)
https://www.youtube.com/watch?v=uyf6qFWRLDQ
確かに「労組はいかなる妥協案も提出しなかった」とマクロン大統領はこのインタビューで語っています。17分50秒あたりです。ここでマクロンが言っている労組が出すべきだった「妥協案」とはたとえば64歳への引き上げを63歳にとどめておくといったことだと説明しています。すなわち、議員たちも労組も議論に加わって妥協案を出さなかったから、49条3項という下院の決議を通さない形の非妥協的な手段を使わざるを得なかった、合理化しているわけです。
また、CFDTのロラン・ベルジェ事務局長が年金の掛け金の支払い期間延長に賛成してくれた、とマクロン大統領が発言しているのは、やはりこのくだりで、18分34秒あたりです。
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