2023年03月28日16時55分掲載
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アジア
軍政下のミャンマー、国民の貧困加速よそに、海外移住し不動産購入する富裕層が急増
軍政下のミャンマーでは、国民の約4割が貧困ライン以下の生活を強いられている(世界銀行2022年7月報告)一方、国軍幹部の家族ら富裕層がタイ、シンガポール、オーストラリアなど周辺各国に移住し不動産を購入する動きが加速している。DVB Burmese Newsの報道をミャンマージャポンが伝えた。
ミャンマーの不動産関係者は、「海外に移住する富裕層が2021年2月のクーデター以降に急増しており、特に2022年から顕著になっている」と語った。また、これまで隣国タイの首都バンコク市内のコンドミニアムが人気だったが、最近ではシンガポールやオーストラリアの不動産を購入する富裕層が急増しているという。
タイの英字紙バンコクポストによると、2022年のミャンマー人によるコンドミニアム購入数は188戸で、世界8位にランクインしたという。購入者は実業家や有名芸能人、国軍幹部の家族だという。
だが、こうした一部富裕層の海外での蓄財のうごきとは無関係に、大多数の国民の生活は悪化の一途をたどっている。昨年の世界銀行の貧困ライン報告につづき、今年3月の国連の会議で、国軍の解任命令を拒否してミャンマー国連大使の座にとどまっているチョーモートゥン氏は、ミャンマー全人口の半数が貧困の水準に達していると報告した。同大使はまた、現在は1,760万人が人道的な支援を必要としていると述べ、昨年11月の1,520万から直近5か月間に急増したと指摘した。
こうした国民生活の困窮の背景にはクーデター以後の外資の撤退などにともなう経済の悪化とともに、軍政打倒をめざして民主派勢力が立ち上げた国民防衛隊(PDF)とそれと連携した一部少数民族武装組織と国軍との戦闘が各地で激化していることがある。だが国軍は、民主派勢力をあくまで武力弾圧する姿勢を変えていない。27日に首都ネピドーで行われた「第78回国軍記念日」の式典で、軍評議会(SAC)トップのミンアウンフライン国軍総司令官は、民主化運動指導者のアウンサンスーチー氏が率いる国民民主連盟(NLD)支持者や国民統一政府(NUG)、国民防衛隊などの抵抗勢力を「テロリスト」と非難し、「決定的な行動をとる」と改めて強硬姿勢を示した。
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