2023年03月29日17時59分掲載
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アジア
スーチー氏率いるミャンマー最大政党NLDが政党資格失う 軍政下の総選挙への参加拒否
ミャンマーの軍評議会(SAC)傘下の連邦選挙管理委員会は28日、民主化運動の指導者アウンサンスーチー氏が率いる最大政党、国民民主連盟(NLD)が政党としての資格を失ったと発表した。国軍が今年中に予定している総選挙に参加する政党は、SACが制定した新政党法により28日までに政党登録申請をする必要があったが、NLDは申請しなかった。このため政党としての資格を失うことが確定した。選挙管理委員会は、NLDの政党登録を取り消し、29日付けで解散させると国営放送を通じて発表した。
英国BBCの報道としてミャンマージャポンが伝えたところによると、28日までに登録された政党は63団体で、全国規模の政党が12団体、地方レベルの政党が51団体となった。これまで、政党登録されていた90団体のうち、40団体が政党登録を申請しなかったという。
NLDは、1988年の民主化運動のなかで、スーチー氏やネーウィン軍事政権に批判的だった旧軍人、知識人らが民主主義の回復をめざして結成、国民の圧倒的支持を得た。クーデターで民主運動を血の海に沈めた国軍は、90年の総選挙にむけてNLDの人気を恐れ、書記長のスーチー氏を89年に自宅軟禁するとともに多くの幹部や党員を拘束するなどして政治活動を封じ込めたが、総選挙ではNLDが圧勝した。
だが、軍政は第一党に政権を移譲するという公約を反故にして政権の座にとどまり、非合法政権がつづくことになる。
軍政はその後もNLD弾圧の手をゆるめなかったが、2011年の民政移管とともにNLDの政党活動が認められるようになり、15年の総選挙でNLDが圧勝、16年にNLD政権が誕生した。スーチー氏は国家顧問兼外相として民主化の推進と経済発展をめざし、NLDは20年の総選挙でも圧勝した。だが第二次NLD政権が発足する直前の21年2月に、選挙に不正があったとして国軍がクーデターでスーチー氏らの身柄を拘束、国家権力を奪取した。
圧倒的多数の国民が民主主義の回復とスーチー氏らの解放を求めて非暴力の「市民不服従運動」を展開したが、軍政は徹底的な武力弾圧をつづけている。
軍政は今年中に総選挙を行うとしているが、NLDは不法な政権の下での選挙に参加することは拒否するとして、政党登録に応じなかった。NLDは29日、「軍評議会(SAC)に政党を解散できる権限はなく、国民がいる限りNLDは存続する」との声明を発表した。
NLDによると、これまでに党員1,235人が不当に逮捕され、国軍の尋問により26人が死亡したほか、63人が殺害された。また、国会議員など371人の自宅が差し押さえられ、党事務所には国軍による侵入や破壊活動が120回以上行われたという。
NLDが解党させられても民主化運動が失速するわけではなく、国民の多くも軍政主導の総選挙の結果を認めることはないとみられる。軍政打倒をめざす民主派勢力の武装組織、国民防衛隊(PDF)は一部少数民族武装組織と共闘して、各地で国軍との戦闘をつづけている。
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