2023年04月02日07時39分掲載
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欧州
フランスの民衆の闘争がサント=ソリーヌの巨大貯水場計画への反対へ 〜背後には気象変動・夏の渇水による農民の危機と大手穀物企業〜
年金制度改正問題で大揺れに揺れたフランスで、新たな民衆の闘争注として目されたのがフランス西部のサント=ソリーヌの巨大な貯水場建設計画の問題だった。実は、私はデモ隊と警察隊が緑のぬかるみ的な田園地帯で対峙し、ここでも再び乱戦模様になっている様子の動画や写真をSNSなどで見た。しかし、最初は何が起きているかわからないままだった。以下はYouTubeのある動画(Partager C'est Sympaというチャンネル)フランス語を解さなくても、動画からなんとなくイメージは伝わると思う。
https://www.youtube.com/watch?v=LMJK2YZEa4M
情報を集めていくと、エコロジーの問題が根底にあり、国が計画している巨大な貯水場建設計画に対して、農民や市民が反対を表明しているらしい。そして3月25日には全国から応援に来た人も含め、参加者がルモンドによると6000人規模(規模を示す数字にはいくつかバリエーションあります)だったとされる。これらの人々が警察隊と闘争し、警察側の負傷者47人、反対デモ側が200人、そのうち重傷者が2名に上ると言う。上のYouTube動画では貯水場は16か所で建設されるとのこと。
これまで得た情報ではこの貯水場を作り、冬場に地下水からくみ上げここに貯水しておき、渇水が起きる夏場に水を農家に分配する構想らしい。ただ、この建設費の支払いが農民に求められること(上記のリンクでは60%を国の補助金で賄い、残りを農民たちの分担金で賄う。1つの建設で290万ユーロ=約4億円)と、地下の自然な水流が壊されるとともに、貯水池に水をためても蒸発でかなり失われてしまうといった問題が浮上しているようである。つまり、反対運動をしている人々から、この貯水場自体がさらなる渇水につながると思われているのだ。
そもそも今、貯水場を作るということ自体が異常気象がもたらしていることなのである。そして、動画の情報ではサント=ソリーヌ以外の地域でも渇水が深刻化して、巨大な貯水場が建設されつつあるようだ。
下のルモンドの記事では、「一部の大手穀物生産者が水を独占する」という刺激的な見出しがある。動画でも指摘されていたが、広大なトウモロコシ畑があり、このトウモロコシの育成に莫大な水が必要になるのだ。つまり、この地域の食というより、大手穀物企業が生産して海外へ販売する割合が大きいようなのである。
https://www.lemonde.fr/planete/article/2022/10/29/deux-sevres-la-manifestation-contre-la-megabassine-de-sainte-soline-vire-a-nouveau-a-l-affrontement_6147882_3244.html
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