2023年04月20日16時28分掲載  無料記事
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コラム

21世紀の植民地主義 〜自国植民地支配のために天皇制も危機にさらす〜 その4

  すでに1回目から3回目まで、日本自体が自民党政権から植民地化されつつあるのではないか、という仮説を書いてきました。日本の国際的地位の低下、国民経済の衰退、一部富裕層と対称に庶民の暮らしの困窮化、教育費の高騰、自由貿易協定における国民の権利の削減、安保法制における国民の権利の削減条項など、この20年余りのトレンドを1つ1つ重ねていくと、日本人の大衆すなわち「負け組」を植民地住民化しようとしているように見えてきます。これは明治維新の時の帝国主義につながったナショナリズムとは一線を画しています。一見、安倍政権はナショナリスト政権のように見えましたが、先述のように北方領土はほぼ永久に取り戻せなくなりましたし、米国への追従は増しています。中東の2人の日本人の人質の命を救うことさえできませんでした。さらに、日本の国力が衰退しても、責任を取ろうという政治家が与党にいるようには見えません。 
 
  この明治維新時のナショナリズムと今日とを隔てるものは、経済の仕組みが一層、高度に資本主義が進行し、資本が国境を越えて、瞬時に巨額の投資ができるようになったことがあげられます。そして間接金融から直接金融に変化しました。この結果、儲かるなら日本の労働者でなくてもよい、ということになって海外に工場が移転し、日本の中流層が減少しました。しかし、日本政府はそんなことはお構いなしです。国民を二分化して、いわゆる勝ち組が利益を得られるシステムであれば、その他、大勢がどのように困窮しようと権力を維持できればそれでいいのだし、むしろ、その方が維持しやすいという理由があります。なぜならば、一定の教養を持つ中流層が存在すれば自由勝手なことができませんが、そういう層をなくして、新聞すら購読できない人々を大衆化することで、政府を監視する人が少なくなるのです。マスメディアには、ナショナリズムをやっているような、東京五輪のような象徴的イベントを大々的に行うことも忘れません。史的システムとしての資本主義は、投資の目的が利潤の拡大であって、国民の福利厚生という価値とは無縁ですから、このシステムがIT化で高度化すればするほど、経済が庶民の暮らしに目を注いだ優しいものとは程遠い、化け物と化すのは確実です。 
 
  この21世紀の植民地主義がナショナリズムではない最大の理由は、天皇制に対して戦後最大の存続の危機をもたらしていることです。中国から台湾を守る、という名目で平和憲法を破って、参戦した場合、前にも書きましたが、戦争が長期化する可能性がありますし、米国が自国の都合で撤退すると、日本が敗戦を迎える可能性もあります。その場合、天皇制の存続がリスクになるはずです。第二次大戦のときはマッカーサーが戦後統治の都合で独断で、天皇制を維持しましたが、次の日中戦争で敗れた場合、そうなる可能性は未知数です。むしろ、国連で日本が今日も監視対象の敵国に指定されていることがここで決定的に響くでしょう。台湾と中国の問題に日本は軍事的解決ではなく、憲法に記載しているように平和外交で解決を図るしかないのです。平成の天皇自身が平和を国民の誰よりも望んでいたことを忘れてはいけないのです。 
 
  日本への直接の侵略ではなく、中国の過去の内戦に発する外交問題に、超大国・米国の圧力で前のめりになって天皇制をリスクにかけるというのはナショナリストのすることではないでしょう。それができるのは、天皇制を日本植民地の内部のシステムだと考えていて、自分たち=「支配者」の価値をそこに置いていないからこそできることです。米国の属国と化し、日本文化も尊重しない自民党政権はナショナリストの政権ではすでにありません。戦後のどこかで自民党は変質したのです。それは小泉首相の時代だったでしょう。国内に一日三食の食事のできない家族を見捨てて海外に莫大な金をばらまいて回れるのは、ナショナリストではない政権です。そして、そのような岸田政権を最も鋭く批判しているれいわ新選組の山本太郎議員が、どこかアイルランドの政治家に似ている理由も「植民地」支配からの独立というテーマを掲げているからでしょう。翻訳すれば、不正な権力からの日本国民の解放です。その意味ではれいわ新撰組に風が吹くのは、<自分は宗主国の子孫だと思っていたけど、実際は、植民地の住人だった>と日本人の半数が気がついた時だと思います。 
 
 
■マンスフィールド研修と対日政策 
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■バーニー・サンダースら上院議員12人がTPP再交渉をオバマ大統領に促す<<再交渉で致命的欠陥を是正するまで議会で批准の議論をすべきではない>>  上院議員たちが危機感を感じる複数の欠陥条項とは? 
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■21世紀の植民地主義 〜自国を植民地にして今後はもっと苛酷に収奪する〜 その2 
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■21世紀の植民地主義 〜自国を植民地にして敗者から収奪する〜その1 
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■趙景達著「近代朝鮮と日本」 
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■N.バンセル、P.ブランシャール、F.ヴェルジェス著「植民地共和国フランス」(岩波書店)  明治元年から150年の今こそ読みたい一冊 
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■本山美彦著 「金融権力 〜グローバル経済とリスク・ビジネス〜」 
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■21世紀の植民地主義 〜朝鮮植民地化と同じことを日本国民に〜 その6 
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■21世紀の植民地主義 〜日本国民の上に君臨する「高天原族」〜 その5 
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■21世紀の植民地主義 〜外国人研修生の苦難は明日の日本人の運命〜 その3 
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