2023年05月15日19時47分掲載  無料記事
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入管

入管法改正に高まる批判 4000人が国会前に

 出入国及び難民認定法(入管法)の「改正」案が5月9日の衆院本会議で可決されたが、同法案をめぐっては反対世論が大きくなっている。参議院で同法案が審議入りした12日、反貧困ネットワークや♯FREEUSHIKUなどの市民団体で編成する「入管法の改悪に反対する大集会実行委員会」は、同法案を廃案に持ち込むために、国会前で大規模な反対集会を開催した。 
 
 国会前には、約4,000人を超える参加者が集まり、同法案が可決されることで苦しむことになる当事者やその関係者ら10人以上がスピーチ。また、立憲野党の国会議員も登壇し、同法案を参議院で廃案に持ち込むべく、意気込みを語った。 
 
 首都圏移住労働者ユニオン書記長の本田ミヨ子さんは、「衆議院では生死に関わる法案がたったの19時間の審議で可決されてしまった。人の痛みがわからない議員は直ちに辞職するべき」と強行採決に持ち込んだ与党議員を痛烈に批判。また、「クルド人難民Mさんを支援する会」事務局の周香織さんは、「日本で難民認定されない者が他国で難民として保護された事例がいくつもある。日本の難民認定基準は国際基準からかけ離れている」などと主張し、極端に難民認定率が低い今の日本の入管行政の在り方に疑問を投げかけた。 
 
 集会に参加した仮放免者のパートナーを持つ女性も「法案が可決されれば夫は強制的に帰国させられてしまい、私は一人ぼっちになってしまう」と強い危機感を抱いている。彼女は、自身の夫が難民認定を受けられるようにこれまで何度も入管に出向き、「夫が帰国して迫害を受けたり殺害されたらどうするのか」と入管職員に質問したが、「自己責任ですから」と苦笑いしながら回答されたと言う。 
 
 同集会に駆けつけた立憲民主党の石川大我参議院議員は、「法務委員会のメンバーとしてこの法案を必ず廃案に持ち込む」と意気込み、日本共産党の仁比聡平参議院議員は、「必要とされないと判断された外国人は無期限に収容されてしまう。あってはならないことだ」と、2年前に廃案となった法案と殆ど内容が変わらない法案を提出した政権与党を批判しつつ、今回も野党の力で廃案に持ち込むという決意を力強く語った。 
 
 参議院での本格的な議論が始まる中、法案成立阻止のためには立憲野党と市民の連携、国会内外での共闘が必要不可欠だろう。国際的な人権意識の高まりがある中、今こそ日本の入管行政の根本的な在り方が問われている。 


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