2023年06月25日10時09分掲載
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国際
ロシア政府がプリゴジン氏への嫌疑を取り下げ、プリゴジン氏はベラルーシへ ブリゴジン氏がウクライナ戦争の大義へ疑問をつきつける
ロシア政府は反乱を起こしたプリゴジン氏への嫌疑や反乱罪の適用を避け、取引が成立し、プリゴジン氏はモスクワ攻略は放棄し、ベラルーシへ出国したと伝えられている。ニューヨークタイムズと同様に、ロイター通信はワグネル創設者のプリゴジン氏がロシア連邦国防省上層部とウクライナ戦争をめぐって確執があったことを伝えている。
https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-russia-prigozhin-lie-idJPKBN2Y91CN
「ウクライナでの戦争を巡り、プリゴジン氏は軍や国防省を繰り返し批判してきているが、ロシアの「特別軍事作戦」をウクライナの「非武装化、非ナチ化」が目標という政権の説明を今回初めて否定。テレグラムに投稿した動画で、ロシアがウクライナ侵攻を始めた「2月24日に起きたことは日常茶飯事にすぎない。国防省は国民と大統領を欺こうとし、ウクライナからとんでもない侵攻があり、北大西洋条約機構(NATO)全体でロシアを攻撃することを計画していると説明していた」と述べた。さらに「戦争はショイグ国防相が元帥に昇格するために必要だった。ウクライナを非武装化し、非ナチ化するためには必要ではなかった」と強調。エリート層の利益のためにも戦争は必要だったという見方も示した。」(ロイター)
こうしたプリゴジン氏の声明を知って、思い出されるのは1980年代のアフガニスタンへ駐留したロシア軍兵士たちの思いだ。1973年にベトナムから撤退した米国は、ロシアにも同じ痛みを味あわせようとアフガニスタンを第二のベトナム化すべく最新兵器をアフガニスタンに送り込んだ。それが今日のタリバンへの道もである。ロシア国内には、アフガニスタンに駐留して貧者と闘うことへの疑問があった。特に未来を担う若者たちが疑問を持つことになった。それがやがてはソ連崩壊へと結びついた。今回のプリゴジン氏の声明は、ウクライナとの戦争に対する疑問の声を集約している。戦争に踏み切った時のロシア連邦国防省の上層部がプーチン大統領を含め、ロシア人に対する偽りだったと述べている。
いったん、内戦は本格的なものに発展せずに終息した。今後注目されるのはプリゴジン氏が批判したロシア連邦国防大臣のショイグ氏とその部下である将軍たちを、プーチン大統領がどのように処遇するかだろう。プリゴジン氏は当初からプーチン批判は展開せず*、一貫して国防省のトップだけを批判し、彼らを罰すると声明していたのだった。このことはウクライナへの進軍が当初の短期終結の見込みと違ったことを含め、プーチン大統領自身にも取り巻きの国防大臣や将軍たちに対する疑問が存在する可能性がある。とはいえ、プーチン大統領にとっては、すでに多くの犠牲者を出したウクライナ戦争の大義を今さら否定するのは難しいだろう。
*ニューヨークタイムズは昨日付の記事で、プリゴジン氏の厳しい批判の的はロシア連邦の国防大臣と将軍たちだったとしているが、最近ではプーチン大統領に批判が及ぶこともあったとしている。
<In recent months, he continued to steer clear of directly criticizing Mr. Putin, even as he increasingly used social media to lambaste Russia’s military, accusing its leaders of treason and blaming them for failing to provide his forces with enough resources.>
https://www.nytimes.com/2023/06/24/world/europe/russia-military-prigozhin-wagner-timeline.html?smid=fb-nytimes&smtyp=cur&fbclid=IwAR1TdJnr6oEaurFa7Ba-bJOf1RLR-kW5ZP2U3Wtzm3sAwFDm40mDpuE4xm4
■上西充子著 「呪いの言葉の解きかた」(晶文社)
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201905261630370
■ハーバービジネスオンラインに寄稿した上西充子教授のテキスト「小川淳也議員による根本大臣不信任決議案趣旨弁明を悪意ある切り取り編集で貶めたNHK」
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201903061340383
■国会パブリックビューイングを見に行く 村上良太
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201902062355103
■国会パブリックビューイングを見に行く その2 〜国会を市民に『見せる』(可視化)から、市民が国会を『見る』(監視)に〜
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■安倍首相「アベノミクス3本の矢をまさに今度は世界で展開していきたい」
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201605281021546
■アラブの春の設計者たち〜NYT寄稿 'When Arabs Tweet'(アラブがツイッターを始めるとき)
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201306250303382
■「一夫多妻制 または「アラブの春」が冬になる時」〜 スペイン紙のブログから 〜村上良太
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201111020024593
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