2023年06月25日22時54分掲載  無料記事
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入管

市民団体が入管法の改悪について総括 到底容認できない

 入管問題に反対する市民団体が6月24日に全国集会を開催し、入管法の改悪を阻止するためのこれまでの取り組みを総括した。集会に参加したウィシュマ・サンダマリさんの妹であるワヨミさんは、「今回のような改定案が成立することは遺族として到底容認できるものではない。この状況を市民の皆さんの力によって、変えて欲しい」と、今国会で成立した入管法に対する思いを語った。 
 
 同集会を主催した入管の民族差別・人権侵害と闘う全国市民連合(入管闘争市民連合)代表の指宿昭一弁護士は、「残念ながら入管法改悪法案が6月9日に可決されたが、これで闘いが終わったわけではない。むしろ、これからが本当に重要な闘いの始まりだと思っている」と述べた上で、「法律の施行まで、まだ1年あり、野党からは廃止法案を出そうという動きもある。法案を廃止に追い込み、難民申請者の強制送還ができないようにするという闘いが求められている」と、今後の展望を語った。 
 
 集会には立憲野党の国会議員も参加。立憲民主党の鎌田さゆり衆院議員は「衆議院では、法務省や入管庁から騙され、欺かれ続けて審議が終わった。ここまで国民を欺き続けた上で強行採決された入管改悪法であるから、私たちは今後も超党派の難民懇で廃止を訴えかけていきたい」と、引き続き入管法の廃止に向けた取り組みを継続していく意向を示した。また、社会民主党の福島みずほ参院議員は、「国会審議の中で、日本の難民認定制度が全く機能していない状況や、入管行政の問題点がより具体的にわかったのではなかろうか」とした上で、「廃止法案により法律の廃止を求めていきたい」と述べた。 
 
 また、入管問題を扱った小説「優しい猫」の作者で小説家の中島京子氏もオンラインで発言。中島氏は、「この問題の根幹は私たちが気づかない内に、入管にやりたい放題させてしまったことにある」とし、「とにかく皆がこの問題を知って、怒るという状態を作っていくことが大事」と語った。 
 
 今後の取り組みについて、入管闘争市民連合の前堂亜祐美事務局長は、「まだ私たちには、闘わなければならないたくさんの問題が残されている」とし、ウィシュマさん事件の真相解明や未成年の仮放免者に対する在留特別許可の獲得などに、力を入れて取り組んでいく方針を示した。 
 
 入管法の国会審議を通じ、これまであまり焦点が当てられてこなかった難民審査参与員制度の在り方が問題視され、大阪入管においては、医師が酩酊状態で被収容者の診察を行うなど、入管施設内での医療体制の現状などが明らかとなった。これらの問題を踏まえて指宿弁護士は「入管法の立法事実は崩れた。法律の正当性はない」と、強い口調で述べた。 
 
 国会での審議を尽くすことなく、入管法を強行採決した政府与党の姿勢は、市民の目にどう映るのか。次期衆院選の際には、入管問題に対するこれらの姿勢も投票を行う上での判断材料の一つとして頂きたい。 


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