2023年07月10日19時01分掲載
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コラム
現在の国会は正当性があるか? 昨年の参院選で行われたNHKによる誘導(安倍元首相狙撃事件報道)
日本の国会は二院制ですが、昨年7月に行われた参院選は選挙無効ではないか、と私は思っています。というのは、直前に起きた安倍元首相狙撃事件に対して、マスメディアは旧統一教会の問題が事件の根底にあったことを隠蔽していました。それだけでなく、NHKは翌日、NHKスペシャルで、この事件を報じながらも銃社会のテロ問題に主なテーマを設定し、旧統一教会の問題には触れなかったのです。しかし、後日明らかな異なったように、原因は旧統一教会の問題にありました。私はNHKは国民の目を真実から反らしたのだと思います。
国民には知る権利があります。昨年7月、マスメディアの報道は、真実を呼び覚ますものとは程遠く、むしろ安倍元首相への同情を喚起することに大きく貢献したと思われます。これは選挙について不平等をもたらしたと私は考えます。安倍元首相が銃撃された翌朝の新聞の見出しは主要新聞はすべてハンコを押したようにほぼ同じでした。
以前からメディアはかつての高市総務大臣の「電波停止」という恫喝を受け、選挙前の政治報道に時間を割くことを減らし、投票日の夜にそれまで取材してためた動画を一挙報道する、という倒錯に陥っていました。米大統領選やフランス大統領選のように選挙に1年近くかけ、じっくり有権者が政治家を吟味したり、政治への要求を出したりできる政治文化は日本にはありません。政治評論家や政治学者ばかりでなく、日本国民全体の問題です。選挙がせいぜい1か月以内の超短期間しかなく、その間に有益な政治報道は少ない。そして投票日の夜に一挙に情報が蔵から出る・・・これはとてもおかしい。国民がよくこれに黙っていられるものです。
安倍元首相の銃撃事件に対する当日と翌日の報道も、先述の通り、国家による情報統制があったように思われるのです。あるいは、自主規制だったのかもしれませんが、異常な自主規制です。それは選挙が終わった後にたまったマグマのように一気に大量の情報が噴出したことからも明らかです。
安倍首相に詳しかったNHKの元女性解説委員は、安倍首相と統一教会の関係についてはそれまで知らなかったと最近、TVで語ったとされます。しかし、この発言について、多くの人々が批判しています。政治家に対する情報が不足している中で選挙が行われ、報道に政権よりのバイアスがかかっていたなら、正当な選挙だったと見なすことは難しいでしょう。そもそも選挙にもっと時間をかけ、有権者が正しい情報が得られる必要があります。現在のように与党に都合がいいタイミングで恣意的に国会を解散をして、その時の瞬間風速で一気に次の内閣を組閣するようでは、この国が先進国から転落するのは将来、確実です。
政治を行うのは市民です。政治家は議会に代理で出たり、法律を代理で作ったりするだけで、つまり市民の手助けをするだけなのです。そして市民は政治を行うために情報が必要です。その情報は、政治家に対する情報に限らず、財政、外交、軍事、社会問題など様々な情報が必要です。岸田首相が海外に持参して配る高額な予算の必要性というものも国民の承認を受ける必要があります。国会の承認というのでなく、国民の承認です。しかるに政治家も政治記者も(下々の)国民にどこまで情報を投げ与えてやればいいかをいつも考えているのです。海外ニュースに至っては鎖国と言っても過言ではありません。政治記者や政治家の意識が変わらない限り、選挙制度も報道も変わるはずがありません。
■7月9日の新聞朝刊の金太郎飴的見出しはなぜ?
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■表現の自由とネットメディア 統一教会をめぐる投票日前の報道をきっかけに
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