2023年08月07日21時58分掲載  無料記事
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アジア

クーデター後の市民の日常と声を描くドキュメンタリー映画「ミャンマー・ダイアリーズ」公開

 ミャンマー・コレクティブという匿名の映画人集団が制作したドキュメンタリー映画「ミャンマー・ダイアリーズ」が、5日から東京・東中野のポレポレ坐で公開されている。2021年2月の国軍クーデターに抵抗する市民の運動が弾圧され、圧政下で息を殺すように生きる人々の日常と生々しい声を若手作家ら10人が命がけで描いている。全国で順次公開される予定。 
 作品は世界三大映画祭である第72回ベルリン国際映画祭パノラマ部門でドキュメンタリー賞を受賞、国際的な場で上映されている。「軍事政権下の恐怖を詳細に記録」(ハリウッド・レポーター)、「政治的にも芸術的にもパワフル」(シネヨーロッパ)と高い評価を得ている。 
 くわしい内容はぜひ映画館で鑑賞していただきいが、映画は最後に「どうか私たちの声が届きますように」という字幕が流れる。ミャンマーの悲劇を、対岸の火事としてではなく、日本の人びともおなじ人間として彼らの声にどう向き合うかが求められているといえよう。 
 上映後にはミャンマーにかかわる映画監督や在日ミャンマー人らのトークショーが組まれている。6日夕のトークショーでは、在日ミャンマー人の民主化運動家チョウチョウソー氏が軍政との闘いの現状と今後について語った。 
 同氏は、1988年の民主化運動に参加、運動が国軍に鎮圧されたあと、軍の追及を逃れて1991年に来日。98年に難民認定をうけ、東京・高田馬場でミャンマー料理店「ルビー」を経営しながら、祖国の民主化運動支援をつづけている。 
 彼によると、現状は厳しいが、自分たちの世代と今回のクーデター後の若い世代の民主化運動の違いをふまえて、将来の展望は明るいという。「われわれの世代は長年の軍政下の闇のなかで軍政に反対し民主化をもとめて闘ったが、かならずしも将来の国家ビジョンまでは明確に描いていたとはいえない。これに対して現在の若い世代は、2016年からのアウンサンスーチー政権下で自由な考えで行動できるようになり、軍政打倒後の国家ビジョンを明確にもっている。それは、これまで中央政府と対立を繰り返してきた少数民族をふくめた民主的な連邦国家である」。 
 日本はミャンマーと政治的、経済的に過去も現在も深いかかわりを持っている。この映像作品は、そのアジアの隣人たちの新しい国造りへむけた闘いに、私たち一人ひとりがどのような支援をできるかを考えさせる。 


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