2023年08月09日20時57分掲載
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アジア
中国でデフレが顕在化してきたとNYTが報じる
本日のニューヨークタイムズで最も筆者の関心を掻き立てた記事はこれ。中国経済がデフレに転じた、というものです。これはいったい、何が起きているのでしょうか?気になります。記事の見出しは「China’s Economy Faces Yet Another Threat: Falling Prices」
https://www.nytimes.com/2023/08/09/business/china-economy-inflation.html
記事によると、2年以上ぶりに小売り価格が低下し始めており、しかも、卸売価格については10か月も前から価格低下が起きていたというのです。
※China's Economic Growth Model Is Dying | Michael Pettis
https://www.youtube.com/watch?v=XO8o0TO-rfg
マイケル・ぺティス教授の説では、中国は1930年代のドイツ、戦後のブラジルや日本と同じ経済発展モデルを歩いてきた。つまり、輸入よりも大きな輸出を行い、蓄えた富を消費に使わず、銀行に貯金する。その金が再投資されて、地下鉄やビル建設に投資される・・・こうして中国は毎年10%近い成長率を誇ってきたが、すでにインフラは構築され、有効な投資先がなくなってきた。(しかも、輸出が滞ってきた)そこで、消費拡大が求められるのだが、長年、消費を抑えて貯金する経済モデルを行ってきたため、消費が拡大しない。そこには少子高齢化なども関係しているだろうが、老後の福祉や医療の制度が十分でないことが消費拡大を抑えている。それらのことがデフレにつながったとぺティス教授は考えているようである。
この教授の説は日本が繁栄のピークにあった1980年代半ばに米国から内需拡大を突きつけられた時代を想起させる。そして、教授は中国の場合、政府(中央政府と地方政府)が収益をかなり吸い上げていくので、庶民に十分な収入も回って行かないという問題もある。もし、これが問題だとすれば、中国のデフレは日本のデフレと似た構造があることがわかる。そして、投資に次ぐ投資をインフラ建設に行ってきた政府や国営企業の債務が積み上がっているようだ。ニューヨークタイムズによれば、中国の不動産価格が減少に転じている。このことも日本のバブル崩壊を想起させる現象だ。
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