2023年08月10日01時42分掲載  無料記事
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コラム

パトリス・マニグリエ (哲学者)落書き好きの僕の嫌いな落書き〜「君の平和主義は階級の特権だ」〜  Patrice Maniglier

※壁の落書き 「君の平和主義は階級の特権だ」 
 
これは僕がこれまで見た落書きの中でもっともよく知られたフレーズです。壁の落書きが好きな僕も、この言葉はとても嫌いです。もし「平和主義」の代わりに「非暴力」を、と書くのならわかります。でも、「平和主義」を敵視するとは!・・・しかも、戦争が欧州を含め、世界各地でいささか新たな炎を上げようとしている時に、です! 
 
これを書いた愚か者に、教えてやるべきでしょう。戦争はまず貧しい人々を殺すのだということを。近現代のすべての戦争においては労働者階級こそが大砲の餌食になったということを。平和主義こそ労働者の側に立った政策立案のための重要な考え方の1つをなし、また逆に、この平和政策によって、上流階級が「国民の団結」(なぜなら戦争と平和は国家間の事だから)という偽のスローガンを掲げて行う様々な政治を粉砕するものだということを。労働者の運動の中で最も優れたものはインターナショナルで、かつ平和主義の計画の上に築かれたものであったことを。そして、その計画を放棄した時、世界はカタストロフィーに陥り(第一次大戦の勃発)、同時にそれは労働運動内部における裏切りでもあったということを(社会民主主義者たちに対するレーニンの道徳的優位性と歴史を前にした時の彼の永遠の正当性は、平和主義との決別を自分に禁じたことにあります※)。 
 
もしあなたがこの落書きを書いた人を知っているなら、その人に会って、落書きを消すように言ってください。そして、小さな紙を何枚か持ってきて、そのクソを包んでゴミ箱に入れるようにと。人が何も知らず、道徳的資質にも知的な誠実さにも欠けているなら、どこでも教訓を与えることです。これはまさに悪であり、いつか必ず活動家たちが対処することを学ばなくてはならないものなのです!思うに、おそらく若い人の落書きでしょう。しかし、これにはさらなる意味があります。五月革命の世代が、若い世代の愚か者たちは年をとったら年老いた愚か者になる※※ということを示したことです。 
 
 
パトリス・マニグリエ (哲学者) 
Patrice Maniglier 
 
 
※世界史の窓 
https://www.y-history.net/appendix/wh1401-105.html 
「(レーニンは)第一次世界大戦が起こると、帝国主義戦争に反対し、第2インターナショナルと対立した。1916年には『帝国主義論』を著し、資本主義社会の矛盾点を明らかにした」 
https://www.y-history.net/appendix/wh1401-095.html 
 「1914年に第一次世界大戦が勃発して国家間の対立が鮮明になると、各国の社会主義政党もそれぞれ自国の戦争を肯定する側に回ったり、戦争支持か反対かによって党が分裂し、第2インターナショナルは1914年の開戦とともに機能不全に陥り、崩壊した」 
 
 
※※1968年のいわゆる「五月革命」世代の中には、年を取って反動化した人々も存在することを示唆している 


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