2023年08月11日19時08分掲載  無料記事
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アジア

日中戦争を本気で誘引する日本の政治家たち 〜中国側にも戦争待望論が出る可能性〜

  中国のデフレにどんな意味があるのか?ニューヨークタイムズのコラムニストや記事、またその他の経済学者のインタビューなどに触れてみると、中国のデフレは日本のデフレとよく似ている。そもそも中国の経済発展モデルは戦後、日本やブラジルがたどったのと同じタイプで、輸出が輸入より大きく、そこで得た外貨(収入)を庶民が消費よりもなるだけ銀行の貯金に回して、その金をインフラや工場建設などに再投資するモデルだった。しかし、中国はすでにインフラもビルも十分にできたために有効な投資先が少なくなってきた。そこで収入を消費に回さなくてはGDPは拡大しないが、これまで貯金型をずっとやってきたことがネックになっているようである。 
 
  そして少子高齢化、医療や老後の福祉などが十分でないという不安から、庶民は消費を控え、貯金を持っておきたい。また、地方政府が富を吸い上げるため、庶民にそもそも十分な可処分所得がない。そのため、輸出が減り(輸出で、中国以外のライバルが出てきた)、消費も伸びないとあって、モノの値段が下がるというデフレが鮮明になってきたようである。これは日本や米国で物価が上昇していることを考えると、中国経済が別の問題に今直面していることがわかる。 北京大学のビジネススクールである北京大学光華管理学院のマイケル・ぺティス教授(Michael Pettis)※によると、中国は1991年に起きた日本のバブル崩壊の後をたどる可能性が高い。しかし、もし、中国の地方政府から庶民に富が移転され、経済主体が個々人あるいは民間企業に移転すれば消費が回復し、GDPが再浮上するシナリオも理論上はあり得るとする(これはいわゆる「構造改革」にあたる)。しかし、これは過去の歴史ではなかったことだと言う。 
 
  もし中国で始まったデフレが不動産バブル崩壊を巻き起こし、日本の1990年代のようなデフレスパイラルになった場合(実際になるかどうかは別として)、中国共産党が存在意義を経済発展に見出せなくなった場合、戦争、という出口を選択するリスクがゼロではない、というのがニューヨークタイムズのポール・クルーグマン(経済学者)のコラムの締めだった。そして、それが杞憂でないように、日本の政治家たちが次々と台湾を訪れて戦争の覚悟を語っている。このタイミングで、である。麻生太郎は財務大臣も経験したので、中国経済の現状くらいは知ってのことだろう。しかし、忘れてはならないのは日本は国連で監視対象となっている全体主義陣営の敵国の地位にあることだ。そして次の日中戦争は天皇制存続の最大の危機になるだろう。 
 
 
 
※China's Economic Growth Model Is Dying | Michael Pettis 
https://www.youtube.com/watch?v=XO8o0TO-rfg 
 この極めて興味深い中国経済についてのインタビュー番組の中で、ぺティス教授は世界の2大デフレの例を語っている。1つは1929年のNY発大恐慌後、もう1つは日本の1990年代のデフレである。米国のデフレは1930年代に復調できた。しかし、日本のデフレは未だに回復できず、GDPの60%が失われたままになっている。中国はこの失敗の後をたどる可能性があるというのだ。(筆者の考えでは、日本がデフレから復調できなかった理由は、1990年代以後、雇用を不安定化させると同時に、消費税を導入して消費が抑制されたことが一因だろう。米国は1930年代にニューディール政策を行い、インフラから文化にまで及ぶ様々な事業を起こして、庶民の財布に金を入れて消費を復調させたのである。日本が米国のようにできなかった理由は、あまりにも政治権力が経済プレイヤーたちと癒着しているからだろう。それは中国の地方政府とよく似ている、ということだ) 


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