2023年08月15日22時18分掲載  無料記事
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コラム

昨今のマスメディアの特徴は<報じない力>  報道しないことで存在感を見せる

  極めて残念ながら、昨今のマスメディアは、報じないことに自らのパワーの源泉を見つけているのではないでしょうか。マスメディアは報じないことで、その事実が「公認」ではないことになり、したがって存在しない、という風に見られていくのです。伊藤詩織さんが被害を受けた事件や木原議員の関与したとされる殺人事件の謎、与党と異なる思想・行動を取る新党をなるだけ報じないこと。安倍首相狙撃の翌日も選挙を前にしているのに、統一教会のことは報じなかったのでした。 
 
  マスメディアはその名の通り、「マス」の存在であり、そこに記事が載らないことは公認されていない、社会で必要のない情報、というような感覚で無視されてしまうものです。これは教室や企業で、うっとおしいと見なされた人をみんなで無視しているのと同じ行動でしょう。強い側について、弱い側、弱者の味方につく側を無視するか、スクラムを組んで貶める。このマスは高度経済成長の時代の大量生産、大量消費時代に部数を伸ばし、発展した歴史を持っているため、情報の流通に載せるか載せないかで、その事実の生殺与奪をマスメディアが握る、ということです。産業界との親和性もその時代に遡ります。小さなインターネット媒体が何を報じようと、マスへの情報ルートを握る限り、与党は安泰でしょう。 
 
  何を書いたかよりも、何を書かなかったが貴重な存在理由となっているのであり、その存在理由はもはや時の政治権力のためのものです。僕は個人的には、20年以上前に東京湾の十六万坪と呼ばれた地域の埋め立て反対水上デモを深夜のTV番組で取材したことがありました。しかし、ロケから編集室に戻ってきて最新の大手新聞を見ると、水上デモが行われた東京湾で、デモの人びとのいない閑散とした水面に夕日が照っている写真を載せていたのです。まるで一日中、静謐だったように。これはもう確信犯であり、れっきとした歴史修正主義でしょう。 


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