2023年09月07日13時56分掲載  無料記事
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環境

「地球温暖化が人為的に増えた温室効果ガスによる」という説の誤り 落合栄一郎

 現在の温暖化・気候変動の原因として、人類が過去数世紀に放出したCO2の温室効果だとする現在の気候変動人為説の根底にあるCO2による温室効果なるものが、実は根本的に間違いなのである。しかし、こうした温室効果なるものを提唱したアーレニウスがノーベル賞を受賞したことと、最初に提唱した政治家が科学者であったイギリス首相のサッチャー女史であったこともあって、多くの首相レベルの政治家が巻き込まれ、そしてその威光(意向)に沿って格を上げたい科学者の努力で、温暖化=CO2温室効果なる説が定着してしまった。そうした関係者が、温暖化とそれに基づくとされる危機を煽ることに専念していて、多くの人は、そうした危機の原因としてCO2=悪と思い込まされてしまったようである。 
 そのCO2、メタンなどの温室効果というのはどういう現象なのか。H2O、CO2、CH4などの分子は、赤外線領域の光(熱線)を吸収する。だから地表からの熱線を吸収し、その一部は宇宙空間方面へ出すが、半分ほどは、地表の方へ戻す。これが、いわゆる温室効果と言われるものである。これは事実ではある。問題は、これらの物質は、地上からの熱線をどのぐらい吸収するかである。実は、地表から出る熱線のほんのわずかな部分なのである。これだけでは、地表から出る熱線のほんのわずかしか保持できない。(CO2こそが地球温暖化の原因と主張する側は、適当な数値を使って、シミュレーション計算なるもので、これが温暖化の主因であると主張している)。ここでは、その誤りを科学的に検証してみようと思う。 
 地球を取り囲む大気の中にあるCO2は、人為で増やしたとはいえ、現在約0.04%にすぎない。大気の大部分は、窒素 (N2, 78%)と酸素 (O2, 21%)である。これらの分子は、赤外線を吸収しない。それは事実である。したがって、大気の主要成分である窒素、酸素は温室効果に寄与しないというのが、CO2温室効果を主張する側に言い分である。しかしこうした大気の大部分を占める空気(窒素、酸素)は地表から出る熱線とは無関係か;全然影響を受けないのか?例えば、裸でいた時には寒い。なぜか。体表から出る熱線がどんどん失われていくから。そこで、服を着たら、暖かくなる;なぜ?体表と服の間にあるCO2の温室効果?そのような事は考えられない。服と体表の間の空気が、体表からの熱を保持して、体表からの熱の飛翔が抑えられるから。何が、熱の飛翔を抑えるのか。それは、熱赤外線を分子内で吸収するのではなく、多数ある窒素、酸素分子そのものの熱運動が体表からの熱でより激しくなる(これが熱として観察される=温度上昇)。というわけで、体表と服の間の空気が熱を保持することになるからである。こうした気体への熱の伝わりも、温室効果の一部ではあるし、むしろ主要なもので、熱赤外線を分子の内部で吸収するCO2などの効果は、それに比較すると無視できるほど小さい。ということは、現在の温暖化現象の原因は、CO2などの温室効果ガスによるものではない。なお、分子そのものの熱運動に依存する温度は、その分子の重量に依存する [1]。CO2の分子量は44 g/mol、大気のそれは29 g/molで大体同じ。ですから温度上昇への寄与率は、大気中の空気(窒素と酸素)が99%、CO2は約0.04%であり、この点でもCO2は無視できるほどわずかしか寄与しない。 
 そこで、本当にそうか、大気温度とCO2の歴史上の変化を見て、その間に相関性があるかどうかを調べてみたら良いであろう。様々な研究データによれば、過去5億年ほどの間、大気温度と大気中のCO2濃度の変化には何らの相関性もないことが分かっている。より最近、過去80万年ほどの大気温度、CO2、CH4 (メタン)の変化をグリーンランドの氷床の詳しい分析から図にしたものが発表されている [2]。それを図1に示す。これを見ると、すぐさま温度とCO2、CH4の変化がよく対応していると見て取れる。これこそが、CO2、CH4などの変化が大気温度を変化させるのだ!とすぐ見てしまう。ところが、もっとよく注意してみると、大気温度が上がると、少し遅れてCH4が増え、また少し遅れてCO2が増えるのが見てとれる。すなわち、CO2/CH4は、温度の上昇で増え、温度の降下で減少するのであり、その逆(CO2/CH4が温暖化の原因)ではない。より近年のハワイでの観測データは、はっきりと、CO2の増減は、気温の変化に追従することを示している [3]。CO2の水への溶解度は、温度が上昇すると減少するという原理があり、水温(大洋の)が上昇すると、大気中に逃げ出す。冷えたビールをグラスに入れて室温で放っておくと炭酸ガスが逃げっていってしまい、旨さが減るでしょう。あれと同じ。 
 地球上の温度変化は、何に依存しているのであろうか。太陽からのエネルギーの変化と、それを受け取る地球側の変化;すなわち太陽との距離や、公転軌道との傾斜の変化などによっている。過去80万年ほどの10万年ほどを周期とする氷河期・間氷期の原因として、こうした太陽との相関関係はミランコヴィッチサイクルと言われ、かなりよく検証されている。図1の温度変化は、そのミランコヴィッチサイクルである。過去2、3世紀ほどの温度変化は、太陽の活動(黒点の数など)に主に左右されているようである [4]。 
 今年、日本ばかりではないが、異常高温が続いているようである。CO2が急増したわけではないので、CO2増加が原因とは考えられない。エルニーニョ現象がこの異常気象に寄与しているようではある [4]。また、太陽活動が活発化している傾向もあるようである [5]。 
 
 
 
 
[1] T. Allmendinger, The Real Cause of global Warming and its Consequences on Climate Policy, SciFed Journal of Global Warming, 2018, 2:1 
[2] https://www.nature.com/articles/453291a.pdf; Ed Brook, Nature, 435, 25 May, 2008 
[3] 根本順吉、「超異常気象」(中公新書、1167, 1994)図8-12, p213 
[4] https://www.climate.news/2023-06-01-el-nino-is-approaching-summer-through-winter.html 
[5] https://clintel.org/solar-activity-cycle-25-surpasses-cycle-24/ 


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