2023年10月15日09時42分掲載
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コラム
報道の冬の時代と、次のメディアの時代 〜「報道」限界集落化を克服する道〜
2012年末あるいは2013年初頭に始まった第二次安倍政権は、すでに1990年代のデフレスパイラルと2008年以後のリーマンショックのダブルパンチで追い詰められていたテレビの世界の調査報道番組あるいは報道番組の制作者・ディレクターたちにとどめの一撃となった。もちろん、今も活躍している人はいるとしても、10年前と比べると、あるいは20年前と比べると厚みがかなり減っていると思われる。私の身の回りだけでも、第二次安倍政権が始まる前からすでに、報道に半生を捧げてきたような先輩方たちが彼らの報道が金食い虫であることを理由に企業の窓際に追いやられたり、退職をしたりを余儀なくされていた。第二次安倍政権が始動する前から経営的に厳しい淵に追いやられていた企業が多く、生き残るためにできることは限られていた。かつてなら、月刊誌などの活字媒体に個的に逃げることもできたかもしれない。しかし、今日ではすでにそうした媒体の多くは店じまいしてしまっていたので、逃げ場は個人的なブログとか、YouTubeなどしかなくなってしまったのである。中には報道企業まるごとが倒産してしまったところもある。
SNSを見ると、マスメディアに不信感が高まっているし、<なぜこうした現実が報道されないのか?>と憤っている声に多く接するけれど、そうした報道を三度の飯より愛していたような人々が活動の場を失っていった現実があるのだ。もちろん、そんな中でも忖度せず勇気のある報道を今日も続けている人々も存在する。ただ、そうした人々はそれができる場を確保していた、ということなのである。そして、そうした場が次第に先細って来たのがこの10年あるいは2008年から見ると、この15年のテレビメディア業界である。発表できる媒体と取材活動の資金の年々の縮小である。報道番組を作っていたあるプロデューサーは番組枠がつぶされ、東京五輪の報道班に移動になってしまった。今日、報道が欠落している情報の量と過去数年で仕事場を失ったディレクターや制作者の数はとても多い。皆さんは不思議に思われないだろうか、BSも含めてこれだけ多彩なテレビのチャンネルがあって、そのくせ真の報道をやっている番組があまりにも少ないことに。ここには大きなミスマッチが存在している。私はある民放で局長をやったことのある方から「報道はテレビにはもういらないよ」という話を聞いたことがあった。実際、切り捨てられているのである。
しかし、そうした「お疲れさん」と肩を叩かれた人々は、かりにすでに退職していたとしても、おそらくまだ耄碌はしていまい。とはいえ、「報道」限界集落化と呼ぶべき高齢化がここでも進んでいると思われる。それでも活動できる媒体が用意できれば、すぐにでも彼らは稼働できると思われるのである。要は、新しい仕組みの創出であろう。すでに先行して試行錯誤しているインターネット媒体は複数ある。しかし、まだ潜在的には可能性はもっと広大な気がする。そして現在は、ジャーナリズム論よりも、むしろプロデューサー論あるいはメディア経営論、メディア金融論が必要な時代だ。しかし、それはかつてメディアを騒がせたようなIT産業でニューリッチになろう、六本木ヒルズに住もう、というようなものとは異なる精神でなくてはなるまい。大学でメディア論をやっている方々には象牙の塔にこもらず、有益な情報を社会に還元していただきたい。そのための研究であろう。そして、1つでも2つでも成功事例が世に出ると、風景が一気に大きく変わる可能性がある。
●提案
参政権を行使するためには国内と国外の情報が不可欠であり、その意味で国民は情報を得る権利がある。その情報は企業の営利で
取捨選択されるべきものではなく、国民が政治について判断を下すうえで必要かどうかという選択の基準で行われるべきである。その意味で、情報へのアクセス権は水や空気へのアクセス権と同じである。
■2月13日正午 緊急集会 報道ステーションスタッフの大量解雇問題を考える
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■赤狩り経験者が集結して作った映画「フロント」
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■米PBS フロントライン が追ったサウジの皇太子MBS~The Crown Prince of Saudi Arabia (full documentary)
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■「第三の敗戦」 報道のグローバル化がNHKの怠惰を埋めるかもしれない
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■マスコミ各社へのお願い3点 読者との信頼関係修復のために
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■東京新聞労組が自社の新聞記事を批判 「こんな報道は本当にやめるべきだ」
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■改憲案に緊急事態宣言を盛り込んで通したら確実に言えるのはまっさきに来るのが報道の死であること
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■ジェフ・キングストン氏が豹変したジャパンタイムズについて書いたコラム”Media ethics betrayed in Japan” ( Jeff Kingston ) 言論機関への政府介入事件の可能性も
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