2024年02月26日20時48分掲載
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核・原子力
【たんぽぽ舎発】「使用済燃料輸送は安全上不可能(下) 燃料輸送は新規制基準適合性審査を受けていない 山崎久隆
六ヶ所再処理工場とRFSは新規制基準適合性審査を受けている。地震や津波対策も考慮はされている。十分かどうか、妥当かどうかは別にしても。しかしその間をつなぐのは輸送だ。使用済燃料は原燃輸送の専用輸送船「青栄丸」「六栄丸」に積んで運ぶとされている。
通常の船舶に比べれば二重船殻構造になっているなど一定の安全策はされているものの、それは当たり前の水準。船である以上、衝突の危険性や沈没のリスクはゼロではない。さらに長距離ではない
にしろ陸上輸送もある。
これら輸送に対して、これまで新規制基準適合性審査を行ったことはない。これら船舶の安全性は規制委ではなく国土交通省の管轄で、放射性物質等の海上輸送を行う船舶は使用済燃料輸送船としての構造や設備要件を満たすことを国土交通省海事局で船舶安全法に基づき確認する。
輸送については国交省の「船舶による危険物の運送基準等を定める告示」で規制されているが、新規制基準適合性審査のように福島第一原発事故の教訓で何かを見直したというわけではない。
例えば浸漬試験は依然として200m30分、火災試験は800度30分、自由落下試験は9mからの落下と、いずれも震災前と何ら変わらない。
◎津波数メートルでも致命傷
原発や再処理工場は10m或いはそれ以上の津波の対策は一応行っている。防潮堤の建設や津波警報時の対応など、南海トラフ地震では警戒宣言時の対応なども考慮されている。原発や原子力施設はそうかもしれないが、輸送については対応は困難だ。
何十メートルの津波ではなくても接岸しているならば危機的状況になるのは常識の範囲である。
津波襲来が地震活動の直後に発生すると分かれば、緊急出港などの対応を取るなどと規制庁や電力会社は回答するが、能登半島地震では、そんな時間すら残されていない。こうした地震も発生しうる現実を見た。
例えば燃料輸送船に使用燃料を積み込み始めた頃に、能登半島地震のような地震と津波が襲いかかったらどうなるか。想像してみてほしい。船は数メートル持ち上げられて岸壁に激突し、さらに引き波で海底に船体をぶつけながら沖に流される。
そのまま転覆すれば沈没は免れず、使用済燃料ごと海底に沈むだろう。海面下1000mなどに沈んでしまえば、引き上げることは困難だ。
こうした事故は、一瞬で起きてしまう。そして海洋汚染は深刻な事態を招くことは、現在の汚染水海洋投棄で大きな国際問題となっていることからも明らかだ。
◎青森県への使用済燃料輸送を阻止しよう
いま、使用済燃料を運び出す先は日本では青森県以外には存在しない。RFSも再処理工場も青森県にのみ存在する。
そうすると、確率的には輸送事故の発生は青森県が最も高いということになる。青森県沖には日本海にも太平洋にも津波を発生させる断層やプレート境界がある。
いま、大地動乱の時代にあり、能登半島地震の現状を見ても、もし岸壁で積み下ろし中だったらどうなっていたか、全原発が抱える深刻なテーマは青森県に集中的に出現するのである。
再処理工場の燃料プールは一杯で、RFSには燃料は運ばれていない。現段階で輸送を止めるには、全原発からの燃料輸送を地元と共働して止めるほかない。
東電柏崎刈羽原発から使用済燃料の搬出をさせない責任が私たちにはある。
【TMM:No4982】から
(筆者はたんぽぽ舎共同代表)
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