2024年03月03日11時39分掲載
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外国人労働者
【技能実習制度】 新制度の法案審議控え院内集会開催 人権保護を骨抜きにしかねない
外国人労働者問題に取り組む移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)、日本労働組合総連合会(連合)、外国人技能実習生問題弁護士連絡会(技能実習生弁連)などの団体でつくられる実行委員会が、3月1日に都内で技能実習制度に関する院内集会を開催した。同集会では、技能実習制度に代わり創設予定の「育成就労制度」に関して、登壇者から制度改正の方向性や課題などが示された。
外国人技能実習制度は、発展途上国への技能移転を目的として作られた制度であるが、実態として国外からの労働力確保のために利用されてきた経緯がある。実習期間中の転籍(転職)が認められないことで、「辞められないから」と、受け入れ先機関で劣悪な環境で働かされる事例が多発し、「現代の奴隷制度」などとも呼ばれてきた。
3月1日の集会では、技能実習生弁連の指宿昭一弁護士が制度改正の趣旨を説明。政府案における転籍の扱いについて、「分野ごとに1年から2年の範囲内で設定することになっており、3年間一つの受け入れ先機関で就労することが効果的というような書かれ方をしている」と、転籍を制限しようとする趣旨が窺える政府案に懸念を示した。
また、連合の漆原肇労働法制局長は、政府の方針に関して、「監理団体や登録支援機関の要件厳格化や行政機関による監督指導の強化など、連合が求めてきた内容が一定程度盛り込まれている」と評価しつつ、「政府方針にある本人意向の転籍要件や永住許可制度の適正化については、見直しの柱である人権保護を骨抜きにしかねない」などと警鐘を鳴らした。
さらに、移住連の鈴木江理子共同代表理事は、転籍の扱いについて「転籍先は転籍元が実習生受け入れのために投資した初期費用の一部を負担しなければならない仕組みとなっている。ハードルが極めて高く、実質的には転籍が不可能」と指摘。その上で、現行の技能実習制度について「人権侵害の実態を踏まえて反省するのであれば、廃止以外ありえない。労働者や生活者としての権利がいかに保障されているかを考えた上で、制度を作るべき」と訴えた。
同制度改定については、提示された政府方針を下に、今後具体的な法律案が国会で審議されることになる。海外から来る外国籍の人々が、日本で働き、日本で生活したいと思えるような制度改変が望まれる。
※移住連が取り組む永住許可の取消しに反対する署名↓ https://migrants.jp/news/voice/eijyukyoka-torikeshi-hantai.html
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