2024年03月12日12時25分掲載
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基地建設反対「不当な『代執行』による大浦湾の埋め立てを許さない」学習会
アメリカ軍普天間飛行場を沖縄県宜野湾市から名護市辺野古に移設する工事をめぐり、国が、沖縄県に代わって設計変更の承認を行う「代執行」に向けて提訴した裁判で、2月29日、最高裁は同変更を不承認としていた沖縄県の上告を退ける決定をした。
承認を代執行した国は、1月から辺野古・大浦湾の工事を強行しているわけだが、地方自治法に基づく代執行は初めてで、異例の事態になっている。こうした状況の中、移設工事に反対する「止めよう!辺野古埋立て」国会包囲実行委員会」は、3月7日、都内で、「不当な『代執行』による大浦湾の埋め立てを許さない」と題する学習会を開催した。
学習会では、沖縄環境ネットワークの花輪伸一さん、行政法を専門とする成蹊大学教授の武田真一郎さんらが講演。花輪さんは環境問題の観点から、「新基地建設工事によって多くの野生生物に悪影響が出ている。大浦湾はグレート・バリア・リーフ並みの生物多様性の宝庫だが、工事が進むことでこれらの環境は間違いなく破壊される」と指摘。また、武田さんは、代執行の要件を解説しつつ、「国は、本来国民を救済するための制度である行政不服審査法を使って沖縄県の不承認を取り消す裁決を行い、さらにまったく別の制度である地方自治法を使って承認を求める是正の指示を行った。最高裁が、実質的な審査をしないまま上告を不受理としたことも問題である」として、最高裁が、国と地方が対等であることを前提とする地方自治法の基本原則を骨抜きにしたことを批判。
この他、沖縄本島南部で沖縄戦戦没者の遺骨収集に携わってきた「遺骨収集ボランティア『ガマフヤー』」の具志堅隆松さんが、リモート講演し、辺野古の埋め立て工事や軍拡が進む日本の現状について次のように語った。
◯ 私は、戦没者の遺骨を遺族のもとに返す活動を行っている。そのためには遺骨の身元を判明させる必要があるが、この遺骨のDNA鑑定事業を厚生労働省が開始した矢先に、防衛省が辺野古の埋め立てに沖縄本島南部の土砂を使用する計画を立てた。沖縄本島南部は沖縄戦における激戦地であり、未だ多くの遺骨が眠っている場所である。そうした場所の土砂を新たな基地建設に使うことは、戦没者を冒涜していることに他ならない。
◯沖縄の基地建設に限らず、国内各地でミサイル弾薬庫が整備され、日本では戦争する国づくりが急速に進められている。戦争になれば、真っ先に命を落とすのは、戦争を先導する政治家ではなく自衛隊の若い隊員達だ。そうした命を守るためにも、戦争の引き金となるミサイル配備や基地建設はやめるべきだ。基地問題を沖縄だけではなく全国の問題として考え、国民一人ひとりが主権者であることを自覚し、戦争反対の声を上げることが必要である。
辺野古の埋め立て工事に関しては、環境破壊や法的手続きなど様々な問題がある。また、戦没者の遺骨が眠る土砂を、新たな戦争を引き起こす要因になり得る軍事基地の建設に使うことは、「非人道的な行為」とも言える。現地の沖縄県だけではなく全国各地で、国の対応を批判する声が高まっている。
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