2024年04月04日21時27分掲載
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普天間問題
辺野古新基地建設 「代執行訴訟」上告不受理 市民団体による抗議の記者会見
アメリカ軍普天間飛行場を名護市辺野古へ移設する問題をめぐり、国と沖縄県はこれまでに計14件もの訴訟で争ってきた。このうち、取り下げられた4件と係争中の2件を除外すると、残りの8件は全て国が勝訴している。今年2月29日には、国が提訴したいわゆる「代執行訴訟」で最高裁が沖縄県の上告を不受理としたことで、国の勝訴が確定した。
【「代執行訴訟」の経緯】
◯(2020年)沖縄防衛局は、辺野古新基地建設の工事に伴い大浦湾で軟弱地盤が見つかったことから沖縄県に設計変更の申請をする。
◯(2021年)沖縄県は、公有水面埋立法の要件に適合しないことから同申請を不承認とする。
◯(2022年)沖縄防衛局は、不承認の対抗措置として行政不服審査法に基づき国交相に審査請求をし、国交相は、沖縄県の不承認を取り消す「裁決」と地方自治法を使って承認を求める「是正の指示」を行う。
◯(2023年)沖縄県は、国交相の「裁決」及び「是正の指示」を違法として、国に対して2件の訴訟を起こすがいずれも敗訴(関与取消訴訟)。
◯(2023年)沖縄県が設計変更の承認に応じず、国は設計変更の承認を国交相に代執行させるために提訴(代執行訴訟)。
◯(2024)福岡高裁那覇支部で国の主張が認められたことから、沖縄県が最高裁に上告するも不受理とされて敗訴。
「代執行訴訟」に関連するこれまでの過程において、沖縄県や辺野古新基地建設の反対を訴える市民団体などは、国の横暴とも言える法的手段に対して強く反発してきた。更には、昨年10月、国が設計変更を承認する「代執行」に向けて提訴したことに関連し、100人を超える行政法学者らが、代執行の前提となった関与取消訴訟における最高裁判決について「不合理極まりない」とする声明を発表した。
国や裁判所に対する批判が相次ぐ状況においても、最高裁は、2月29日、「代執行」を認めないとする沖縄県の上告を一切審理せずに却下した。この判決を受けて、辺野古新基地建設に反対する市民団体の「『止めよう!辺野古埋立て』国会包囲実行委員会」(以下、「国会包囲実行委員会」)、『戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」 (以下、「総がかり行動実行委員会」) 及び「辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議」(以下、「オール沖縄会議」)は、4月2日、議員会館において抗議する趣旨の記者会見を開いた。
同記者会見で、「国会包囲実行委員会」の野平晋作さんは、最高裁に対して「代執行訴訟」の実質審理を求める2,592団体の署名が集まったことを公表し、「『代執行訴訟』で沖縄県の上告は却下されたが、辺野古新基地建設をめぐる訴訟はまだ終わっていない」として、今後、辺野古新基地建設に関する裁判が引き続き行われることを見据えて、今回集まった署名を最高裁に送ることを示した。
「総がかり行動実行委員会」の藤本泰成さんは、沖縄防衛局が行政不服審査法に基づく審査請求をし、国交相が不承認を取り消す「裁決」や、設計変更の承認を求める「是正の指示」を出したことに触れ、「行政不服審査法の趣旨は、国民の権利利益の救済を図ることである。防衛局が私人になりすまして行政不服審査請求をし、身内である国交大臣がその要求を認めることは明らかに行政の横暴である」などと強く批判。
また、「オール沖縄会議」の福元勇司さんは、「最高裁は実質審議をしないまま沖縄県の上告を不受理としたが、沖縄県民は被害を受け続けている。これは憲法の趣旨からすると基本的人権の尊重が守られていないことにも繋がるため、このまま裁判を終わらせるわけにはいかない」として、今後も運動を続ける決意を述べた。
当日の記者会見の場には、立憲民主党・近藤昭一衆院議員、日本共産党・赤嶺政賢衆院議員、同・山添拓参議院議員、「沖縄の風」・伊波洋一参議院議員、同・高良鉄美参院議員の国会議員のほか、一般の参加者も多く集まっており世間の関心も高いと言える。辺野古新基地建設をめぐる問題について、民主主義と三権分立は機能しているだろうか。国と司法における今後の動きが注目される。
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