2024年05月14日14時54分掲載
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パレスチナの詩アンソロジー「抵抗の声を聴く」 『現代詩手帳』5月号
先日、在住の秩父市内にある熊沢書店の棚をあてもなくうろついていて、ふと『現代詩手帳』の5月号を手に取ったら、特集「パレスチナ詩アンソロジー 抵抗の声を聴く」とあるのが目についた。(大野和興)
詩だから立ち読みできるな、と思ってあてずっぽうにページを開いて読み始めたら、もういけない。はじめ、涙がにじんできて、それからボロボロこぼれ始めて、ぐしゃぐしゃになって、これは立ち読みは無理だと、顔を伏せてレジまで行って、購入した。1430円。
ゼイナ・アッザームという人の「おなまえ かいて」という詩を任意に抜粋する。
あしに おなまえかいて ママ くろい ゆせいの マーカーペンで きょうだいたちの あしにもね そしたらみんな ママのこだって わかってもらえる ママのとパパの おなまえかいて そしたらみんな わたしたち かぞくだったて おもいだしてもらえる ばくだんが うちにおちてきて からだじゅう ほねがくだけても あしがしょうげんしてくれる にげばなんて どこにもなかったって あしにおなまえかいて ママ わたしはばんごうになりたくない あたし かずじゃない おなまえがあるの
「解説」が書いている。かつて強制収容所の被収容者の腕に登録番号を彫ったナチス。イスラエル軍は死者にそれと同じことをやっていて、「数字の墓地」と呼ばれる非公開の墓地がある、という。
「パレスチナ詩」特集の最後に編集部による岡真理さんインタビューがある。岡真理さんが話している。
「12月に暗殺されたガザの詩人で英文学者のリファト・アルアライール(1979−2023)はWe are not numbersというプロジェクトの創始者のひとりでした。ガザの学生たちが英語で詩やエッセイを書いて、‥‥ウエブサイトで世界に向けて発表するというプロジェクトです。ガザで起きている出来事を、人間の物語として世界に伝える。それを外の世界の者たちと協力してやることでイスラエルの封鎖を破る。」
「リファト・アルアライールは『物語』ということを強調したわけです。数字に還元されてしか語られないパレスチナ人の生と死を、人間一人ひとりの物語として表し、伝え届けることがなにより必要だと」
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