2024年05月23日01時17分掲載  無料記事
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入管

名古屋入管死亡事件 国賠訴訟で裁判官が総入れ替え ビデオ映像を見て判断を

 2021年3月に名古屋入管施設内で死亡したスリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさんの遺族らが原告となった国家賠償請求訴訟の第12回口頭弁論が、5月22日に名古屋地裁で開かれた。同口頭弁論から、これまで裁判を担当してきた裁判官3人が総入れ替えとなったことから、原告である遺族らが「新しい裁判官の皆さんもビデオを真剣に見て」と、ウィシュマさん収容時の状況を記録したビデオ映像の視聴を裁判官に求める場面があった。 
 
 口頭弁論後の会見では、遺族弁護団の川口直也弁護士が、裁判官が全員交代したことについて言及。「今まで裁判を担当してきた人が誰もいなくなってしまうということ。これは、中々ない」とした上で、「新しい裁判官が5時間分のビデオを法廷で見るのが、本来の手続」と訴え掛けた。 
 
 また、同じく弁護団の中井雅人弁護士は、訴訟の経過について、「我々は、病院に行けない人が閉じ込められた先で亡くなってしまい、その原因が低栄養と脱水であるのだから、閉じ込めた側に法的な因果関係があるだろうと、主張をしている」と説明。その上で、「国側は低栄養と脱水が死因ではなく、死因はそもそも不明なのであるから、因果関係がないと言いたいようだが、死因不明だから責任を負わないなんてことが許されるはずはない。間違っている」と、国側の主張を問題視した。 
 
 次回口頭弁論は、7月10日に予定されている。指宿昭一弁護士は、「国側はその場で答えられるような簡単な内容の質問に2ヶ月かけると言っている。裁判を長引かせることで、世間の関心が薄れるを待っているのであろう」と述べ、遺族の負担軽減のためにも、速やかに裁判を進行するように求めた。 


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