2024年06月10日09時24分掲載
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入管
日本の入管制度は国際条約違反 都内で市民団体が国際シンポジウム開催
昨年夏の国会で成立した改定入管法の施行前日となる9日、海外で日本の入管制度の問題点を指摘する大学関係者などが参加した国際シンポジウムが開催された。同シンポジウムは、国外への情報発信を目的に開催されたこともあり、各発言者とも通訳などを交えながら、英語と日本語で発言。「日本の入管制度は、外国人の人権を顧みない」「日本を避難地として選んだ人々を保護するのは日本政府の義務」と、現状の日本の入管政策を改めるよう、参加者が訴え掛けた。主催は、入管の民族差別・人権侵害と闘う全国市民連合(入管闘争市民連合)。
会場で発言したヘルシンキ大学文学部講師の朴沙羅さん。日本の入管制度の歴史的背景を踏まえながら、「日本の入管政策は民族差別に根差しており、恣意性が高い」と指摘。その上で、「外国人だから権利を制限されても仕方がないという発想は異例である」とし、外国人の問題ではなく、日本人の問題として入管制度を捉えることが重要であると語った。
また、オンラインで発言したエセックス大学人権センターフェローの藤田早苗さん。藤田さんは、一昨年・昨年の入管法に関する国会審議の際に、法案を英訳して国連機関に提出。これにより、国連機関から勧告が出されるに至った。これらの経験を踏まえながら、日本の入管法案に関して、「日本政府は国連から勧告が出ても法的拘束力がないと主張する。しかし、勧告に法的拘束力がなくとも、中身には拘束力がある」と強調。難民条約を批准している日本政府は、勧告を受け止めて、これに沿った対応をする義務があるとした。
主催団体である入管闘争市民連合の指宿昭一弁護士は、「日本の入管問題は国際的には、あまり知られていない」と、現状を説明。その上で、「だからこそ、国際的にこの問題を発信して批判の声を高めていく必要がある」と、国際的な連帯の必要性について語った。
今国会で審議中の入管法案では、永住資格の取消要件の拡大が議論されており、これについても永住資格を持つ当事者から、反発の声が上がっている。外国籍の人々との間に明らかな差異を設ける日本の入管政策は、海外で生活する人々の目にどのように映るであろうか。人権意識を伴った平等な入管政策が求められる。
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