2024年06月28日17時27分掲載
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司法
KADOKAWA元会長が国賠訴訟を提起 「自分は拷問を受けた」
東京五輪に関する汚職疑惑により逮捕、勾留された出版大手KADOKAWAの元会長である角川歴彦氏が、裁判で無罪を主張すればするほど身体拘束の期間が長くなる、いわゆる「人質司法」の問題点を指摘するべく、6月27日に国家賠償訴訟を提起した。訴状提出後に開かれた記者会見では、原告の角川氏が「東京という社会を代表する大都市の中に東京拘置所という全く閉ざされた別世界があることを、身を以て体験した」とした上で、「自分は(拘置所の中で)拷問を受けたということを、切ないけれども感じた」と、勾留時の状況について語った。
角川氏は、無罪を主張したことをきっかけに東京拘置所に200日以上勾留され、これにより健康状態を損ない、保釈時には車椅子を用いなければならない状態にまで至った。このような勾留時の状況を踏まえ、弁護団長である村山浩昭氏は、「角川氏は、逮捕、勾留される過程で、人身の自由を中核とした自由が奪われ、死の淵に立たされるところまで追い込まれた。このような、人間の尊厳が冒される刑事司法があってもいいのか(と考え)、この裁判の提起に至った」と、本件訴訟の提起に至った経緯を説明した。
弁護団は、このように日本で「人質司法」の在り方を問う裁判が提起されることについて、「初めてのこと」であると説明。併せて、訴訟の目的について、「国際的に批判を浴びている人質司法の実情をつぶさに論証し、制度改革、運用改善を求めることにある」と語った。さらに、訴訟の意義について、小川隆太郎弁護士は「どんな人でも事件に巻き込まれる可能性があるが、その際に、やっていないことをやっていないと言える社会になる」と、強調した。
本件提訴に合わせて、国連人権理事会における恣意的拘禁ワーキンググループに対する申立も行われた。弁護団に名を連ねる海渡雄一弁護士は、「国際機関から、日本の刑事司法制度に関して、非常に厳しい批判が続いていたが、中々改革が実現しなかった」とこれまでの状況を説明。同ワーキンググループが日本の入管収容などに関して勧告を出してきた経緯を踏まえて、「これまでの国連の基準からすれば、本件はまさに恣意的拘禁であると確信している」と、日本の刑事司法制度が国際的に問題があることを強調した。
角川氏は、当該訴訟を通じて「品位を汚す行為を法治国家が行っているということを理解してもらいたい」と呼びかけた。また、本件提訴に併せて、change.org上において、オンライン署名の募集も開始。同署名では、身体拘束を前提とした刑事司法の是正などを求めている。
◯ change.orghttps://www.change.org/p/%E8%A3%81%E5%88%A4%E3%81%A7%E7%84%A1%E5%AE%9F%E3%82%92%E8%A8%B4%E3%81%88%E3%82%8B%E3%81%BB%E3%81%A9%E5%8B%BE%E7%95%99%E3%81%95%E3%82%8C%E3%82%8B-%E4%BA%BA%E8%B3%AA%E5%8F%B8%E6%B3%95-%E3%82%92%E7%B5%82%E3%82%8F%E3%82%89%E3%81%9B%E3%82%88%E3%81%86
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