2024年07月15日23時45分掲載  無料記事
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難民

埼玉・蕨市でクルド人の排斥を求めるヘイトデモ 市民からは抗議の声

 3連休最終日の7月15日、埼玉県蕨市内で保守系団体「日の丸街宣倶楽部」のメンバー4人が、クルド人の排斥を求めるデモ行進を行い、これに反対するカウンターの市民が抗議の声を上げた。100人を超える警察官が取り囲む中で、「日の丸街宣倶楽部」の代表である渡辺賢一氏を先頭に、デモ隊は「自爆テロを支援するクルド協会は日本にいらない!」と書かれた横断幕を掲げて、芝新町公園から蕨駅方面へ。これに対して、「ヘイトスピーチ許さない」と書かれたプラカードなどを掲げる市民が、「ヘイトデモ中止」と度々声を上げた。 
 
 同団体は、前日の14日にも川口駅前で同様の趣旨の街宣を実施。その際にも、市民からは抗議の声が上がった。これまで、同様の街宣やデモが繰り返されてきたこともあり、周辺に居住する40代の女性からは「いつまで続くのだろうか」と、この状況に辟易とする声も聞かれた。 
 
 蕨駅前などでヘイトスピーチに反対する街宣活動に取り組む「川口の未来を創る市民の会」の大森雅美氏は、「ヘイトスピーチを行う団体が蕨や川口に度々来るから、その都度我々も声を上げ続けている」と述べ、蕨市や川口市を中心に繰り返される差別を煽動する運動に対して警鐘を鳴らした。 
 
 埼玉県内には、現在2,000人を超えるクルド人が居住していると言われており、出身国内での民族紛争により迫害を受け、逃れるようにして来日している者も多い。国際基準では、難民として受け入れられるべき存在でありつつも、著しく低い難民認定率を維持する日本の入管難民行政下においては、クルド人で難民として認められている者は限りなくゼロに等しい。法務大臣の裁量により、日本での滞在が許可される在留特別許可が認められる者もいるが、その数も限られており、多くは就労や健康保険の適用が許されていない仮放免の状況にある。 
 
 人口減少と国際化が進む日本社会において、差別と分断を促進することで軋轢を生むのではなく、今の社会情勢に合わせ、現実的な共生社会の在り方を模索していく必要があるといえるだろう。 


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