2024年09月08日21時15分掲載
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核・原子力
【たんぽぽ舎発】「2年半遅れの六ヶ所再処理工場」「2年半遅れの東海第二原発」 国民負担が増えるばかりの「再処理工場」は事業廃止に(下)山崎久隆
東海第二原発でも同様に完工時期の延期が明らかにされた。防潮堤の建設中に欠陥工事が行われ、規制委も問題視、工事の申請からやり直すことになった。
3.東海第二原発の2年半延期がもたらすもの
これまで日本原電は再稼働に必要な安全対策工事の完工を2024年9月としていたが、これを2026年12月すなわち2年余り先送りすることにした。
◎ しかしながら、この欠陥をどうするつもりか。
原電は今の基礎部分は残したまま、内部や周辺の地盤で補強工事を行うとの考え規制庁に対して示したが、規制庁は今後、この追加工事で十分な安全性が確保できるのかを審査する。
その時間と工事時間を考慮して2026年12月を完工時期としたようである。
この欠陥防潮堤に手を入れても、安全上の問題が解決するとは思えない。
しかもその資金は電気料金から捻出されている。
東海第二原発は、1日も早く廃炉にするべきである。
4.誰のお金だと思っているのか!
◎ 六ヶ所再処理工場に話を戻そう。
「使用済燃料再処理・廃炉推進機構」(機構)によると総事業費が15兆1000億円になる見込みだと発表した。
これには、今後の延期に伴う追加分は含まれていない。これからもまだ、巨額の資金が投じられることになる。
この費用は、国民の支払っている電気料金と税金である。
六ヶ所再処理工場に湯水のように使えるのは、電気料金などに機械的に上乗せされて徴収できる仕組みがあるからだ。
◎ 世の中の事情は変わっているというのに、旧態依然とした体制が原子力を延命させる。
再処理費用は、電力自由化の時代にもかかわらず、原発を保有していない会社からも徴収する仕組みを作ってきた。
送電線は大手電力会社が敷設したので、他の電力会社は送電線使用料(託送料という)を支払っているが、2020年まではこれに上乗せされていた。
◎ その後、ウラン燃料単価で決められた再処理に充てる費用(再処理拠出金という)は、原発会社がウラン燃料単価(グラム当たり約700円)で機構に拠出している。再処理が始まれば取り崩す。
しかし拠出金は年間800トンの再処理を行う前提で計算されているが、実際には年間200トンも処理できない。
これは日米原子力協力協定など国際公約で「余剰プルトニウムは持たない」としたこと、さらに総量47トン程度で頭打ちにすることを決めているからだ。
◎ 今のプルトニウム総量は44.5トン、再処理できたとしても3トン弱しか取り出せず、これは再処理量に換算して約200トンである。
毎年プルサーマルで燃やせる量は2トン程度だから、取り出せるプルトニウムもその程度。200トン程度しか再処理できなければ、再処理工場には相当額しか支払われない。
◎ 一方で使用済燃料は貯まり続ける。それで中間貯蔵施設をあちこちに作るという話になってくる。
これでは六ヶ所再処理工場の建設費や運営費、操業期間中の合計約30兆円をまかなえるはずがない。
いずれは国民負担として、再処理拠出金が引き上げられ、さらには税金も投入されるだろう。これが「GX法」の下で今後起こる未来だ。
◎ 六ヶ所再処理工場と東海第二原発、「延期」が決まった今こそ、事業廃止と原発廃炉に向けた運動をさらに強めていこう。
これらが動き出せば、膨大な放射性物質が大平洋に拡散してしまう。
汚染水問題は、この再処理工場と東海第二原発につながっているのだ。
【たんぽぽ舎】共同代表
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