2024年10月04日20時56分掲載
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農と食
<61年目の農業記者>生物界が変だよ
昨日の東京新聞が動物界でこれまで当たり前だったことに異変が起こっていると報じていた。環境庁調査で、希少種ではないスズメやオナガ、チョウチョなど普通にみられた動物が急速に減っているというのだ。そういえば思い当たることが多い。棚田の田んぼでコメをつくったり、山の畑で雑穀を手がけたりしているが、ここ3,4年、スズメ除けの網掛けをしない。肝心のスズメが来ないのだ。(大野和興)
スズメ除けの網掛けは手間ばかりかかるので楽になっていいのだが、なんとなく寂しい。チョウチョでいえば、モンシロチョウが減り、モンキチョウはそれ以上に見えなくなった。それに代わって四国から飛来すると聞いただいだい色のやや大ぶりのチョウチョが目立つようになったが、それも最近はあまり見ない。
チョウチョが減ったうえにミツバチが見えない。今年の春先、ウメの花は満開なのにハチがいなかった。そのためウメに実がほとんどとれなかった。インゲンを播いた人も花は咲いたのに実がならないとこぼしている。やはりハチがいないせいだと思う。花粉の媒介者がいなくなったら、生物界はえらいことになる。野菜も果物も食えないよ。
けものでいえば、秩父市が送ってくる安全安心メールというのがある。災害から怪しい人、火事、サギ電話、けもの出没などなんでも知らせてくれる。けもの情報で多いのはクマ情報で、1日数件はお知らせがある。今年の特徴は、クマに加えてイノシシ、サルが登場してきたこと。この間、日帰り温泉で雑談していたらサツマイモがイノシシに食われてだめになった、という話を聞いた。わが家の近所では食い頃のトウモロコシを両脇に抱え、一本を口にくわえて歩いていたサルに出会った人がいる。
植物にも異変がある。これも希少種ではなく、ふつうにみられる雑 草の話だ。雑草というくらいだから、種々雑多なものがあるはずなのに、最近目立つのは単純化だ。雑草が生えている廃棄農地や草原が一面同じ草で覆われているのが目につく。除草剤の影響かなとも思うのだが、その単純さは見ていてもまったくおもしろくない。
別名ネコジャラシともいうエノコログサ。平地では緑色の穂をつけるが、茶色、赤、黒を高所に行くにつれて穂の色が濃くなると、秩父の牧野富太郎をいわれる元酪農家に教えてもらった。わが家はやや高所にあるので、いろんな色のエノコログサに出会えるのだが、通常の細長い穂がススキのように開いてしまうのに出くわした(写真)。穂の色は茶色。不思議なのでスマホで写真を撮って検索したら、答えは「ススキ」。AIなんかあてにならない。
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