2024年10月12日22時08分掲載  無料記事
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市民活動

杉田水脈「裏金+差別常習政治家」は次の参院選に出るという 問題はまだまだ続く

 「裏金+差別発言常習議員」の杉田水脈前自民党衆議院議員を公認すべきでないと呼びかけ、ネット署名を提起した市民グループが12日、運動の経過と成果について公にした。報告は、杉田水脈氏が比例候補を辞退し、自民党が比例名簿から同前議員をはずしたことで、目的は達成された、としている。一方このネット署名呼びかけの最中、呼びかけを掲載した署名サイトが突然アクセス不能になり、署名活動が中断された件については、表現の自由の観点から問題視している。(大野和興) 
 
 この報告は呼びかけ人のひとり前田朗東京造形大名誉教授のブログに掲載された。 
https://maeda-akira.blogspot.com/2024/10/blog-post.html 
 
 前田さんの報告から経過を追うと、発端は小さな市民グループの集まりでの話からだった。 
 
「共同声明のきっかけは、ダーバン+20:反レイシズムはあたりまえキャンペーンという小さなグループの実行委員の相談から始まりました。 
 民族や性的指向などの属性を標的として差別発言と名誉毀損を繰り返してきた、レイシズムの塊のような政治家が、何一つ反省することなく、また選挙に出馬することを放置しておいてよいのか。何かできることはないか。」 
 
 こうして呼びかけ人らは、事態は急を要したので、10月7日夜に見切り発車で、オンライン署名(Change.org)を呼びかけた。そして 
10月10日午後まで、実質3日に満たない期間に1万筆を超える賛同が得られた。 
 
「極めて短期間の準備でしたが、共同声明は非常に多くの方から歓迎され、賛同していただきました。」と前田報告は述べている。共同声明に対するメディアの報道もあって、関心と賛同が集まった。 
 
 杉田前議員本人は署名の動きを意識してSNSに悪態めいた文言を投稿するなどした。X(旧ツイッター)で杉田氏は「あなた方がいくら騒ごうが、私にはなんの影響もありません!」と毒づき、それがまた拡散されるという事態が続いた。 
 こうした共同声明の動きも重なって、杉田前議員は公認辞退に追い込まれた。 
 
 小さな動きではあったが、共同声明は成果をあげ、目的を達した。同時に今後に課題を残した。そのひとつが署名サイトによるアクセス中断という予期しなかった事態が生まれたことである。 
 
 サイトは「Change.org」。トップページには「世界最大のオンライン署名サイト」と銘打たれている。アクセスと止めたことについて、同サイトは以下のように書いている。 
 
 
「このオンライン署名は審査中です 
 
このオンライン署名はサイト上での公開が停止されています。ポリシーチームによるコミュニティガイドラインへの違反の有無が審査されています。その結果に基づきページ公開の再開または停止継続が決定されます。今しばらくお待ちください。」 
 
 サイト停止は今も続いている。このことについて前田さんは次のように述べている。 
 
以下ーー 
 
公職選挙法第138条の2に次の条文があります。 
 
「(署名運動の禁止) 
 
第138条の2 何人も、選挙に関し、投票を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて選挙人に対し署名運動をすることができない。」 
 
共同声明が、第138条の2の「投票を得しめない目的をもつて選挙人に対し署名運動」に該当するのではないかが問題となります。いわゆる「落選運動」の禁止です。 
 
第1に、私たちの共同声明は、主として自由民主党に「杉田氏を公認するな」と要請する運動です。これは落選運動ではありません。政党に対する要請行動です。 
 
第2に、公職選挙法における選挙運動は公示日から始まります。今回の公示日は10月15日(予定)です。私たちの共同声明は、選挙運動以前の、政治的表現の自由の行使です。 
 
第3に、声明文の中に「この機会に私たちは杉田水脈議員には国会議員になる資格はなく、来たる総選挙において国民の代表者たる国会議員にしてはならないと訴えます」という記載があります。この点が落選を求める署名運動に当たると考える人がいるかもしれません。しかし、これは当たり前の表現の自由の行使です。 
 
 そして前田報告は、市民として当たり前の落選運動や政治的発言の自由から考えると、今後きちんと議論する必要がある、と提起している。 
 
「今後のいわゆる「落選運動」にとっては大きな問題となりますので、開かれた議論が必要です。 
 有権者が公職選挙の立候補者の政治的資質をチェックし、論評し、広く呼びかけることは、基本的な政治的表現の自由の行使です。これなくして民主主義は機能しません。」 
 
 杉田前議員は今回の比例区をあきらめる代わりに、総選挙のすぐ後に行われる参院選に出ると公言している。どうやら森山自民党幹事長が杉田前議員を納得させるために空手形を切ったようである。 
 
 「裏金+弱者への差別常習国会議員」をどうするか。問題はまだまだ続く。 


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