2024年10月25日00時06分掲載  無料記事
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市民活動

「日の丸・君が代」強制の通達から21年       「五次訴訟」原告らが集会を開催

 東京都教育委員会(都教委)が、都立学校の教職員らに対して、入学式や卒業式における「日の丸・君が代」を事実上強制する「10・23通達」を発出してから21年が経過した。都教委は、「君が代」斉唱時の不起立などが通達に違反したとして、これまでにのべ484名を懲戒処分。現在、この通達の撤回と処分の取消しを求める「東京『君が代』裁判五次訴訟」が行われている。これまでも、各地で同様の訴訟が提起されてきたが、今となっては全国で唯一の闘い。12月の結審を迎える前に、原告らで構成される主催9団体は20日、東京都内の日比谷文化図書会館で「学校に自由と人権を!10・20集会」を開催した。 
 
 壇上では、原告の男性が「7月の口頭弁論では、都側から『あなたの守りたい内心とはどのようなものか』と問われた。内心の自由は憲法で保障されているもので答える義務はなく、都側の人権感覚を疑った」と法廷での様子を報告。別の原告でクリスチャンの女性は、「これまで処分を受けても裁判に訴えず、信仰を貫いて退職した教員もいる。ほかにも、採用された直後に君が代の強制を通告され、仕方なく退職した若い教員もいた」と、原告以外にも通達によって深刻な状況に追い込まれた教職員らの存在について語った。 
 
 また、弁護団の澤藤統一郎弁護士は、「15人の原告について26件の懲戒処分があった。それら全てについて、憲法や行政手続法、国際人権法などに照らして違法であると主張している。これまで提起した訴訟では一定の成果を上げてきたが、まだ道半ば。この裁判は憲法の根幹部分、つまりは立憲主義を問うものだ」と声を上げた。 
 
 国連自由権規約委員会は、2022年に日本政府に対し、「目の丸・君が代」の強制に関する是正勧告を出している。このほか、国際労働機関(ILO)や国連教育科学文化機関(UNESCO)も「愛国的式典」に関する要件を再検討するよう勧告している。これらの勧告は国に対して出されたものであるが、都もその趣旨を受け入れて誠実に対応すべきものである。しかし、小池百合子現都政に、この勧告を受け入れて対応する姿勢は見られない。そのため、教育現場における思想・良心の自由や信教の自由を求める教職員らは、未だに苦しい状況に置かれている。 
 
 「五次訴訟」の結審日は12月16日。東京地裁631号法廷で13時30分の開延が予定されている。 
 
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 このほか、集会では元イスラエル軍兵士で、日本各地で反戦をテーマにした講演活動に取り組む、ダニー・ネフセタイ氏による講演が行われた。 
 
 昨年10月7日、ハマスはイスラエルへの奇襲攻撃により、一般市民含む1,200人を殺害。これに対し、イスラエルは報復としてガザ地区やヨルダン川西岸地区への攻撃を続け、これまでに4万人以上のパレスチナ人を殺害したとされる。このような状況を踏まえて、ダニー氏は、「いま、世界各地で戦争が起きているように思われるが、世界人口で考えると戦争に関与していない人々の方が圧倒的に多いはずである。我々で戦争を止められないはずはなく、未来の子どもたちにどのような世界で生きてほしいか、これを考えるのが我々大人の責任だ」と、平和に向けた思いを語った。 
 
 
「『日の丸・君が代』不当処分撤回を求める被処分者の会」のHPhttp://www7a.biglobe.ne.jp/~hishobunshanokai/ 
 
ダニー氏が夫婦で営む木工房「ナガリ家」のHPhttps://nagariya.handcrafted.jp 


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