2024年11月06日15時42分掲載  無料記事
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市民活動

「憲法改悪を許さない」 平和を望む市民らが国会前で大規模集会

 安保法制の廃止や平和憲法の改悪阻止などを目指す市民団体でつくる「総がかり行動実行委員会」、「9条改憲NO!全国市民アクション」の2団体は3日、国会議事堂前において大規模な護憲集会を開催。会場では、市民ら2,000人以上(主催者発表)がプラカードを掲げ、「改憲反対」、「金権政治を終わらせよう」などと声を上げた。 
 主催者挨拶に立った男性は、「今回の選挙で立憲野党が躍進したものの油断はできない」とし、「自民党は2012年に下野したが、その後に改憲草案をつくり政権奪還のための原動力とした。石破首相は改めて改憲に対する意欲を示しており、警戒が必要だ」と述べた。 
 
 またこの日、選挙戦を終えた野党の国会議員らも連帯の挨拶に駆けつけた。 
 社民党の福島みずほ氏は、防衛力の強化拡大が続く九州、南西諸島の状況に触れ、「今回の選挙で自公政権は過半数割れとなったが、ほかの右派政党は議席を伸ばしている。軍拡や戦争への道は止まったわけではない」と警鐘を鳴らした。 
 日本共産党の小池晃氏は「今回の選挙で改憲勢力の議席数が3分の2を下回った。改憲は冬の時代を迎えたとする報道もあるが、状況は甘くない。今日の集会を起点に、さらなる闘いを広げていこう」と呼びかけた。 
 立憲民主党の有田芳生氏は「約15年ぶりの与野党逆転となり、野党や労働組合、市民の力で政権交代を実現できる局面が訪れた。この流れはもはや止めることは出来ないということを示していく」と意気込みを語った。 
 
 護憲を願う声は海外からも届いている。 
 日韓の市民団体でつくる「日韓和解と平和プラットフォーム」の韓国運営委員会は「日本の平和憲法を維持してこそ、沖縄や朝鮮半島、ひいては東アジア全体の平和を実現できる」とメッセージ。また、「在日ビルマ市民労働組合」のミンスイ会長は「日本が平和憲法を壊して100年前の価値観に戻るような動きには絶対に反対だ」と思いを寄せた。 
 
 「安全保障関連法に反対する学者の会」の呼びかけ人で、京都大学教授の高山佳奈子氏は、日本が国連憲章における敵国条項の適用国であることに触れ、「被爆国の日本が国際社会の中で求められているのは、核軍縮のための役割を果たすこと」と声を上げた。 
 このほか集会では、木更津市でオスプレイ配備の反対運動に取り組む武藤氏、横須賀市でトマホークミサイル導入の反対運動に取り組む新倉氏が、それぞれの現場で着実に軍拡が推し進められている状況について、報告を行った。 
 
 石破内閣の発足から8日後の解散、26日後の投開票といずれも戦後最短となった今回の総選挙。自民党は裏金問題に関わった候補者を非公認として臨むなど、議席確保に腐心した。しかし、蓋を開けてみれば公示前から56議席減の191議席。公明党の24議席を合わせても、総定数の過半数を割る結果となった。さらに、自公とともに「改憲勢力」と呼ばれる日本維新の会や国民民主党の議席を加えても、その数は改憲発議に必要な3分の2を下回る。 
 この結果を受け、石破首相は先月28日の記者会見の場において「国民の皆さまから厳しいご判断を頂戴した。心から反省し、生まれ変わっていかなければならない」と述べたものの、同時に改憲への意向を改めて示した。 
 11日に首班指名選挙が控える中、自民党は他党との「部分連合」を模索するなど、権力基盤の維持に必死な様子を見せる。政局に拘るのは結構だが、平和を望む市民の声が今回の選挙結果につながったことを忘れてはならない。 


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