2024年12月19日21時45分掲載
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核・原子力
【たんぽぽ舎発】女川原発運転差止め仙台高裁の控訴審判決の注目点 「避難計画が実効性を欠くことは差止め要件になる」 上岡直見
2024年11月27日に、女川原発の運転差止めを求める裁判の控訴審の判決が仙台高裁で言い渡された。これは、2023年5月に第一審の請求が棄却されたことを受けて原告側が控訴していた裁判である。高裁の判断は控訴人(原告側)の差止め請求を却下したものであり結果としては敗訴だが、新しい動きがあった。
この裁判の特徴は、他の原発訴訟と大きく異なり、避難計画の実効性のみを論点として差止めを求めたことである。
ところが2023年5月の第一審では避難計画に全く触れず、事故そのものの可能性を原告側が立証していないとして、原告側が論点としていない内容を持ち出し、門前払いしたきわめて不当な判決であった。
今回の高裁もその追認になるのではないかという懸念があったのだが、意外にも裁判所は「避難計画が実効性を欠くことは差止め要件になる」という前提を示した上で、実効性を欠くことを控訴人(原告側)が立証していないとして請求を棄却した。
すると次の課題は、何を以て実効性を立証するかという点になる。 最高裁に上告するかは裁判戦術の問題があり協議中だが、新たな展開が出てきた点で注目したい。
(環境経済研究所代表)
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