2024年12月25日20時25分掲載
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核・原子力
【たんぽぽ舎発】女川原発と島根原発に迫る大地動乱(下)半島部に建つ原発からの避難はとても困難 山崎久隆
女川原発と島根がん発の防災体制の問題点を見ていく。
◆女川原発の防災体制の問題点場合
原発が半島基部に建っている。さらに町の中心部は低い土地にあるため、津波により水没してしまう危険性が高い。
実際、2011年3月11日の東日本大震災では、低い地域が水没し、住民の多くは高台に避難し、原発も高台にあるため364名が原発に避難した。 周辺の道路が寸断され、物資が不足する厳しい状況であり、他に避難できるところがなかった。
原発は海抜14.8mに位置していたが、地震の衝撃で1m地盤沈下したところへ13mの津波が押し寄せた。2号機の原子炉建屋が浸水し、熱交換器や冷却ポンプ室が水没した。
しかし非常用ディーゼル発電機と外部電源が一系統残っていたため、福島第一原発事故のような被害は免れた。津波があと数メートル高かったら、福島第一原発と同じ運命をたどっていた可能性が高い。
女川原発の重大事故時の避難計画では、原則として船で避難した自治体が準備したバスなどで内陸部の避難所へ向うとされる。
天候状況などによってはヘリも活用することになっているという。
津波に襲われて船で避難できるというのは、幻想に過ぎなかろう。
日本海溝沿いの地震は、2011年の東日本太平洋沖地震だけではない。更に北側の千島列島にかけての海溝沿いや、海溝の先の「アウターライズ」と呼ばれる地震など、多数の地震の巣がある。
30m級の津波が来ないという保障などない。
◆島根原発の防災体制の問題点
島根原発の5キロ圏内人口は約1万人だが、30キロ圏内には約46万人が住む。
県庁所在地の松江市に加え鳥取県側にも境港市があるため、東海第
二(92万人)、浜岡(90万人)に続き日本で三番目に人口が多い。
しかも半島の先端部に建つ原発で、アクセスが悪い。放射性物質の拡散状況によっては原発事故時の支援さえも難しい。
防災体制についても大きな問題がある。
島根県東部は2021年7月6〜12日にかけ梅雨前線の活発化で線状降水帯が発生、記録的大雨に見舞われた。島根原発がある島根半島では土砂崩れや冠水が相次ぎ、海沿いに点在する集落をつなぐ道路は寸断され孤立する地区もあった。
原発の東13kmほどの松江市美保関町北浦地区にある「松江鹿島美保関線」脇の斜面が、延長30m、高さ25mにわたって崩落し、1カ月以上、通行止めが続いた。ここも重要な避難道路の一つだ。
能登半島では2024年1月1日に発生した地震に加え、9月の集中豪雨と線状降水帯の発生により土砂崩れが多発し、主要避難道路が寸断されたが、似たような状況は島根半島でも起きていた。
原発事故は地震と津波の発生がきっかけになる可能性は高い。日本ではこれまで原発が地震に遭遇した際、大きな損傷を受けたり、基準地震動を超えたりするケースが続出した。そして2011年3月11日に東北地方太平洋沖地震で福島第一原発がレベル7の事故を起こした。
島根原発の近傍には、大きな活断層が存在していることが分かって
いる。宍道(しんじ)断層だ。
この断層について中国電力は、島根原発建設時には活断層と考えていなかった。3号機の調査で無いはずの断層が確認された。そのときは8kmとされていた。
変動地形学者の中田高氏や渡辺満久氏らが、この断層はもっと大きいと指摘していたが、設置許可時には原発に影響のない断層とされていた。
しかし研究者らによる宍道断層の調査が重ねられた結果、断層の規模がはるかに大きいことが明確になったことで8kmから10km、さらには22km(2008年3月中間報告書)と変転し、現在はこれが39kmの長さになり、それに合わせて基準地震動も820ガルにまで高くなっている。
中国電力と国の立地評価のいい加減さに呆れるばかりだが、宍道断層が実際に活動した場合、39km以内で活動する保障もない。
こうした「断層値切り」「過小評価」は何処の原発でも起きていた
が、島根原発の場合は存在すら否定していたのだ。
こうした問題を抱えていながら再稼働を強行したことに対し強く批判し、運転停止と廃炉を求める。
(たんぽぽ舎共同代表)(初出:2024年12月発行「月刊たんぽぽ舎ニュース」No348)
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