2024年12月30日16時11分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=202412301611171

欧州

港町・リヴォルノ散策~チャオ!イタリア通信(サトウノリコ)

 我が家の子どもたちも12月20日に小学校の授業が終わり、17日間の冬休みに突入しました。イタリアでは、12月25日クリスマス、26日聖ステファノの日、1月1日はお正月、1月6日はエピファニアと言われる祝日です。なので、1月6日までずっと冬休みになります。親たちは、だいたいカレンダー通りの休みなので、1月2日から働くのが通常です。 
 
 ただ、仕事もあまり動きがないのが現実。私たち親たちもバカンス気分で少しリラックスできる時期ですね。ということで、先日トスカーナの海沿いの都市、リヴォルノに家族で日帰り旅行してきました。 
 
 リヴォルノと言えば、アメリカ軍基地、「カチュッコ」という海鮮料理というのが最初に浮かんできます。なぜ、アメリカ軍基地かというと、リヴォルノで撮影された「ブルドーザー」というイタリア映画をすぐに思い出すからなんです。映画の中で、主人公のブルドーザーと呼ばれるイタリア人がリヴォルノに駐留しているアメリカ軍兵士とアメリカンフットボールで対決するという話。アメリカ軍基地というか、イタリア軍基地の中にアメリカ軍が駐留しているんですけど。 
 
 この映画、子どもたちも大好き。ブルドーザーが、リヴォルノのちょっと不良がかった青年たちに頼まれてアメリカンフットボールのチームを作って、訓練もして、アメリカ軍の兵士たちを見返すというストーリー。笑わせてくれるんだけど、その裏ではいばっているアメリカ軍兵士たちに対してくすぶっている地元人の気持ちもきちんと描いていて、その気持ちをアメリカンフットボールの試合で大いに晴らすという痛快劇。いわゆるB級映画の部類ですけど、不良青年たちをスポーツで健全にしていくという、すごく真っ当なストーリーでもあるわけです。 
 
 で、最初に行ったところは、「アメリカ市場」と呼ばれれる、昔はアメリカ軍が持ってきたアメリカの物を安く売っていた市場。今となっては、名前が残っているだけで、アーミー柄のコートなんかもありましたけど、普通の洋服売り場になってましたね。ちょっと残念。 
 
 次に向かったのは、要塞の遺跡。16世紀に建設されたそうです。メディチ家がリヴォルノ城の城主になった時に住居としての役割を持つように計画されて、コジモ1世が本格的に要塞の中に住居を建設したようです。完成したのは、1546年ごろ。ただ、第二次世界大戦の攻撃で、住居部分はほぼすべて破壊され、残っているのは周りの要塞部分。それと塔。要塞の近くには、大型観光船が停泊しており、古い要塞と新しい観光船が一緒に眺められる風景は、何とも不思議な時間の流れを感じさせてくれました。 
 
 そして、何と何とですね、モジリアーニという画家いますよね。彼はパリで活躍して、フランス映画「モンパルナスの灯」もあるので、フランス人と思っている人が多いと思うんですが、実はここリヴォルノ出身なんです。観光船が停泊している場所の建物の壁には、モジリアーニの自画像と彼が描いた妻のジャンヌの肖像画が描かれています。 
 
 さらに、街を散策していると、今度はある建物の壁に、ここでイタリア共産党が生まれたという記念碑を発見。1921年1月21日、イタリア社会党と離れてイタリア共産党が誕生したということです。一般にトスカーナは左翼が強いと言われていますが、リヴォルノでイタリア共産党が誕生したとは知りませんでした。 
 
 で、お昼の時間になり、レストランへ。名物料理「カチュッコ」を食べたかったのですが、予約しないとだめだよと言われてしまいました。「カチュッコ」はムール貝、タコ、イカ、エビなどをトマトソースで煮込んでいる、いわゆる雑多な海鮮煮込み料理。結局、「カチュッコ」にパスタを入れた料理があるからと言われて、それを食べました。トーストしたパンもついてきて、おいしかったですよ。子どもたちは、海鮮カルボナーラを食べてました。カルボナーラと言えば、パンチェッタという豚肉を燻製にして、細かく切ってあるものを入れるんですが、その代わりにムール貝と小さなタコが入ってました。さすが、海沿いの街、カルボナーラもお肉の代わりに魚介類を使うのか・・・と感心。 
 
 自宅から車で1時間。海辺も散歩できて、小さな発見もあり、充実した一日でした。 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。