2025年01月21日13時41分掲載  無料記事
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アジア

陰謀論と韓国政変

韓国では李承晩初代大統領のときから選挙をめぐる不正や工作が民衆の怒りを買い、しばしば過激な行動を引き起こしてきた。(安田幸弘) 
 
今、尹錫悦のターゲットのひとつだった金於俊という人気YouTuberも、皮肉なことに過去、選管システムへの工作を主張するなど数々の陰謀論を提起してきた陰謀論者として有名な人物。 
実際、韓国では以前から右派も左派もことあるごとに「陰謀」を主張して相手側を攻撃し、自分たちの陣営の結束を固めてきた。 
 
…ところが、そうした韓国の「陰謀論」は、単なる妄想的な、あるいは根拠のない「陰謀」ではなく、後になって実際に正しかったことがわかったというケースがあったりするからややこしい。たとえばこのたびの戒厳令騒動でも、平壌で発見された南韓製ドローンをめぐり、北の自作自演か、南の陰謀かという議論がある。 
 
陰謀論は、韓国ばかりでなく日本や米国をはじめ、世界中で問題になっているけれど、それぞれの社会での陰謀論にはそれぞれの社会の歴史が背景にある。韓国の場合は過去の不正選挙の歴史がそれだ。 
 
そして選挙とは、SNSでの「いいね」稼ぎと同じようにどの党、どの候補が一番多く「いいね」を得るかという制度。情報の流れが主流メディアからSNSへと移っている今の社会の価値観が、韓国や米国などでの選挙をめぐる陰謀論の裏にあるんだろう。 
 
歳を取って体力がなくなると、ちょっとした風邪でも命取りになりかねない。老化した民主主義も同じように、ちょっとした陰謀論が命取りになりかねない。だから民主主義は常に前に進み、若返らなきゃいけない。遠い外国の話じゃなくてね。 


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