2025年02月01日11時43分掲載
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難民
日本から世界に声を 在日ミャンマー人ミョーチョーチョーさん 入管難民制度の改善を求めて
日本の入管難民制度を語る際、「日本は難民認定者数が少な過ぎる」とよく言われる。2024年3月に入管庁が示した統計によると2023年の難民認定者数は303人。13,823人が難民申請を行なっている状況を考えると、認定率はわずか4パーセントほどで、これは同年のアメリカやイギリスの難民認定率約60パーセントと比較すると圧倒的に低い数値である。
また、このような厳格な日本の難民認定制度により、難民と認められない者は送還対象となり、これを拒むと入管施設に収容される。収容施設内では、自由が大きく制約されるだけでなく、医療アクセスも制限されることから、これによる健康状態の悪化などの問題点も指摘されている。実際、2021年3月には、名古屋入管において、スリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさんの死亡事件が発生しており、同事件に関する国賠訴訟は現在も継続している。
このような日本の入管難民制度の現状について、日本で生活する外国籍の方々はどのように感じているのだろうか。2006年に来日し、日本で長く生活してきた在日ミャンマー人のミョーチョーチョーさんに尋ねた。
(Q:筆者、A:ミョーさん)
Q.日本に来日した経緯を教えて下さい。
A.ミャンマーの軍事政権の在り方に疑問を持ったことがきっかけで、ミャンマーの民主化運動に参加しました。危険と隣り合わせの毎日を過ごす中で、生きるために日本に逃れてきました。
Q.現在の状況は。
A.来日直後に難民申請をしましたが認められず、その後、2回目、3回目と難民申請を続けましたが、いずれも不許可となりました。現在は、2021年に発生したミャンマーのクーデターがきっかけとなって、緊急的に特定活動の在留資格が認められてはいますが、入管側の判断次第で、いつ資格の更新がされない状況に至ってもおかしくはありません。不安定な立場が続いているので、一刻も早く難民として認めてほしいと思っています。
Q.昨年6月に3回目以降の難民申請者の送還を可能にする入管難民法が施行されましたが、このような改定について、どう思われますか。
A.入管法「改悪」反対運動には、私も参加しましたが、市民はこの改悪に強く反対し続けていました。それでも、法律が成立して、施行されてしまった。命を軽く見ていると感じました。
Q.日本の入管難民制度はどう変わるべきだと思いますか。
A.国際基準に沿った制度にするべきです。もっと難民認定を出すべきだし、収容施設の環境も改善されるべき。強制的に収容するのだから、国はその責任がある。これは、国連機関からも指摘されていることです。
Q.日本政府は、国連機関からの勧告などについて、「強制力がない」との姿勢を示すことが多いですが、これついてはどう思いますか。
A.日本は先進国であるのだから、国際社会の意見を無視するのではなく、取り入れるべき。そうでなければ、先進国とは言えない。
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ミョーさんは、2月3日から6日の期間でタイ・バンコクでの開催が予定されている国際連合アジア太平洋経済社会委員会 (ESCAP)の会合への参加を予定。その際には自身の境遇を踏まえつつ、日本の入管制度の現状について語るつもりだという。
ESCAPは、アジアと太平洋地域の経済の発展、社会の開発のための調査・研究や勧告等を行なう枠組で、アジア・太平洋地域を中心とした国々が主に加盟。これまで、アジア開発銀行の設立やアジアハイウェイ建設などの実績がある。
ミョーさんは「国際社会でもっと声を上げていくことが大事」と述べ、国際協調の必要性に触れた。将来を見据え、国際基準に沿った日本の入管難民制度の改善が求められている。
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