2025年02月07日12時36分掲載
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アジア
韓国、限界に達した社会的分断
最近の韓国を揺るがしている極端な社会的対立は根が深い。南北関係をめぐる古くからの対立、独裁と民主化運動の対立を背景として、金大中が導入した新自由主義が経済的な対立を生み、李明博・朴槿恵を通じて形成された「特権階級」と庶民の対立は極限に達する。(安田幸弘)
政治的理念とは無関係に、何の特権も持たない人々の怒りが灯した「ろうそく」の光は韓国全体に広がり、初の大統領弾劾を実現した。
ところが、「ろうそく」の力で生まれた文在寅政権は、不平等に怒る人々に楔を打ち込んでしまった。金大中が韓国社会に撒いた新自由主義の種から芽生えた正規職と非正規職、男と女、若者と老人、持ち家と借家、有名大卒と地方大卒、親の経済力の有無、有力者とのコネの有無などなどが、古くからの分断の構図と組み合わさって韓国社会はずたずたになってしまった。
無数の勝者集団と敗者集団は、ケッタルとナムチョが核になってYouTubeやSNSを通じて凝集していたところに、尹錫悦のマヌケな戒厳令が信号弾となって対立が顕在化し、ヲタ棒を振る人々と太極旗を振る人々の受け皿となるべく、次期権力を狙う与野二極が熾烈な攻防を展開しているというのが今の状況。
深刻な社会の分断の前では、尹錫悦の弾劾がどうなるか、大統領選挙で李在明が勝つか金文洙(または洪準杓)が勝つか、なんてのは、どうでもいい話なのかもしれない。何がどうなろうとも社会的な対立は続き、韓国社会の庶民は苦しみ続けることになる。
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