2025年02月14日21時58分掲載
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核・原子力
2/4東海第二原発の中央制御室で火災事故 (下) 原因究明よりも、東海第二原発を廃炉にすることを強く求める 山崎久隆
東海第二原発は、東日本大震災で大きな揺れに襲われ、その後も余震などで繰り返し揺さぶられてきた。そのため施設、設備には大きな損傷がなくても、電源系統、特に接点に力が掛かったり、腐食で加熱発火するなどが起こり続けていると考えられる。
2.原発火災の怖さ…全長1,400kmのケーブル
東海第二原発は、東日本大震災で大きな揺れに襲われ、その後も余震などで繰り返し揺さぶられてきた。そのため施設、設備には大きな損傷がなくても、電源系統、特に接点に力が掛かったり、腐食で加熱発火するなどが起こり続けていると考えられる。
もともと東海第二原発は、運転開始以来47年以上経過している。難燃性のケーブルを使用する規制前だったため、再稼働の条件として可燃性ケーブルを燃えにくくする対策をしているが、もともと燃えやすいケーブルだから発火しても不思議ではない。
今回の火災はケーブルではないかもしれないが、発火した場所からケーブルを伝って各地に燃え広がる危険性は指摘されてきた。
1975年3月22日に、米国ブラウンズフェリー原発1号機の火災事故が発生した。火災はこれがきっかけで原子炉制御にも支障が発生した。幸い過酷事故にはならなかったが、そうなってもおかしくない事故のレベルだ。
これについて原子力研究開発機構のATOMIKA(原子力辞典)では次のように記載している。
「格納容器貫通部の漏洩検査を行っていた際、検査に用いていたローソクの火が貫通部のシール材(ポリウレタン)に引火した。結果的にケーブル分配室と原子炉建屋の2カ所での火災となった。ケーブル分配室の火災は約4時間で鎮火されたが、原子炉建屋の火災の消火には7時間以上を要した。数多くのケーブルが焼損し安全設備や機能が影響を受けた。特に電気/制御機器が利用できなくなったため、一時は炉心冷却が不十分な状態となるなど極めて深刻な事態となったが、運転員の適切な対応措置により大事には至らなかった。」
小さな火種から、原発全体が災に包まれ、過酷事故の寸前にまで
至ったことがわかる。
東海第二原発差止訴訟でも、ケーブル問題は追及されている。
「工事が難しく難燃性ケーブルへの取り替えが困難」として、
「ケーブルの難燃性」を「ケーブルトレーとしての難燃性」に置き換えてしまい、規制委員会では「我々(規制委)を誘導するつもりか」「いったい審査基準のどこにあてはまるのか説明せよ」と言われる始末であった。全長1,400kmに及び原子炉内を縦横につながっているケーブルはどこが発火点であれ火災が発生すればケーブルが延焼素材となり建屋全体に火災が広がる。非難燃性ケーブルがわずかでも残ることは決定的リスクとなる。
基準規則および火災防護審査基準では「ケーブルは難燃性ケーブルであること」と明記されており、解釈や裁量の余地はない。
(準備書面(48)2017年7月20日付)
3.中央制御室火災の怖さ…
原因究明よりも、東海第二原発を廃炉にすることを強く求める
言うまでもないことだが、原発の中枢部である中央制御室で火災が発生した場合、極めて危険な事態に陥る。
どこの原発でも、福島第一原発事故後、中央制御室に職員が留まり続けることを前提として、過酷事故対策の計画は作られている。
東海第二は、その中央制御室で火災が発生した。消しとめられなければ、人命優先で放棄するしかない。
緊急対策室は別のところにあるものの制御室と同様の機能はないとされている。緊急事態策班が詰めるが、過酷事故対策として準備されているけれど、通常稼働時に中央制御室が使えなくなった場合に対応できるわけではない。
過酷事故に至るような緊急時には、中央制御室からの支援は必須であり、従ってまず、火災の鎮圧から対応することになる。
その意味でも、ここで火災が発生することは、過酷事故対策において、極めて厳しい状況を最初に作り上げてしまうことになることからも、非常に深刻である。
原因究明よりも、東海第二原発を廃炉にすることを強く求める。
(たんぽぽ舎共同代表)
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