2025年03月30日12時00分掲載  無料記事
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アジア

「異国に生きる ミャンマーのこどもたち」<6>ユニークな学習発表会 押手敬夫

 2021年2月1日の国軍クーデター以降、ミャンマーに暮らす人々は我々日本人には想像できない恐怖と困難に直面している。戦闘の激化で命の保証がないミャンマーを余儀なく離れ、いま日本に渡るミャンマー人が次々と増え、2年半前には37,000人だった在日ミャンマー人数は現在11万人に激増し在日外国人の多い国の第8位となった。 
 東京・高田馬場でミャンマー料理店を営むチョーチョーソーとヌエヌエチョウ夫妻は、在日ミャンマー人の子弟の多くが日本で生まれ育ったため、このままではビルマ語を話せないミャンマー人になってしまう危機感から母国語教育を始めた。 
 その後、この2人の活動は2014年に「シュエガンゴの会」として母国語教室と祖国の伝統文化を教える組織に発展した。会の発足から10年が過ぎ、最初の生徒は今年大学生になった。 
 ビルマ語を学ぶことでミャンマー人としてのアイデンティティを忘れず、それは後々必ず自分のため、社会のためなるはずだと2人は考えている。 
 昨年から春のこの時期に、1年間の学習成果を披露する学習発表会を行うことにした。両親の前で学んだビルマ語を用いて日常生活や旅行した体験などを発表し、母国の歌を歌ったりしたが、今年は少々様相が変わった。 
 上述の通り、現在日本に来るミャンマー人は爆発的に増え、その中には家族の誰もがまったく日本語が話せない一家もやってくる。ミャンマーで生まれ育った子どもたちは、当然ビルマ語は話せても日本語が話せない。 
 最近のシュエガンゴの会は、ビルマ語と日本語の多言語教室に変化を遂げ、更に日頃の宿題や学習を指導してくれるボランティア大学生の学習教室にまで拡大した。 
 昨日行われた学習発表会(写真、クリックすると拡大)は、同じミャンマーを母国とする子どもたちが、ビルマ語を学ぶ生徒と最近覚えたての日本語を学ぶ生徒が混在して、それぞれが学ぶ言語で発表する実にユニークな発表会に進化を始めた。 


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