2025年03月31日13時44分掲載  無料記事
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市民活動

「長生炭鉱遺骨調査・返還事業」 日韓共同の潜水調査始まる

 戦時下に起きた「長生炭鉱水没事故」犠牲者の遺骨調査(※)をめぐり、明日から4日間の日程(4月1日から4日)で炭鉱跡地内部の潜水調査が開始される。同調査を主導する市民団体の「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」(以下、「刻む会」)は、昨年10月及び今年1月から2月にかけてダイバーの伊佐治佳孝氏の協力のもと、潜水調査を実施した。今回行われる潜水調査はそれに続くものであり、伊佐治氏に加えて調査1日目と2日目には韓国からキム・キョンス氏及びキム・スウン氏の2人のダイバーが調査に加わる。 
 
 「刻む会」は、今年最初の潜水調査を実施した後、2月28日、厚生労働省及び外務省に遺骨調査の協力を求める政府交渉を行った。交渉の場で共同代表の井上洋子さんは、全国各地からの賛同を得て遺骨調査が始まっていることを報告しつつ、「遺骨調査を進める上では専門的な技術や金銭的な問題も含めて多くの困難がある。これを突破していくためには国に責任のある立場でこの調査に関わってもらいたい」などと述べた。 
 
 「長生炭鉱水没事故」犠牲者の遺骨返還事業に関しては、遺骨調査に伴う多額の費用が必要となることから、「刻む会」はこれまでに2回のクラウドファンディングを実施しており、2回とも目標額に到達している。政府が遺骨調査に後ろ向きな姿勢でいる中、「刻む会」の取り組みに賛同する一般市民の力によって調査が進められていると言える。長生炭鉱には183人の日本人と朝鮮半島出身者の遺骨が眠っており、遺族はその帰りを長年待ち続けている。市民団体が主導する日韓共同調査に注目したい。 
 
【潜水調査日程】 
4月1日(火) 13:00〜  坑口からの調査 
4月2日(水) 11:00〜 沖のピーヤ(排気筒)からの調査 
伊左治さんによる単独調査 
4月3日(木) 9:00〜 沖のピーヤ(排気筒)からの調査 
4月4日(金) 9:00〜 沖のピーヤ(排気筒)からの調査 
 
【「刻む会」ホームページ】 
https://www.chouseitankou.com/ 
(※)1942年2月3日、山口県宇部市の長生炭鉱で起きた水没事故では、183人が生き埋めとなり、そのうちの136人は朝鮮半島出身者であったとされている。戦時下におけるエネルギー資源を確保するため、国策として取り組まれた石炭の採掘作業であるが、水没事故が起きて以降、犠牲者の遺体はそのままで現在も遺骨は水没した坑道内に眠っている。犠牲者の遺族からは、遺骨の回収と返還を求める声も上がっているが、政府は、遺骨の埋没位置が不明であることなどを理由に、現在に至るまで遺骨調査の実施に応じていない。 


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