・読者登録
・団体購読のご案内
・「編集委員会会員」を募集
橋本勝21世紀風刺絵日記
記事スタイル
・コラム
・みる・よむ・きく
・インタビュー
・解説
・こぼれ話
特集
・国際
・中国
・核・原子力
・アジア
・文化
・コラム
・欧州
・イスラエル/パレスチナ
・農と食
・入管
・反戦・平和
・教育
・市民活動
・米国
・みる・よむ・きく
・検証・メディア
・外国人労働者
・司法
・国際
・市民活動告知板
・人権/反差別/司法
提携・契約メディア
・AIニュース
・司法
・マニラ新聞
・TUP速報
・じゃかるた新聞
・Agence Global
・Japan Focus
・Foreign Policy In Focus
・星日報
Time Line
・2024年12月21日
・2024年12月20日
・2024年12月19日
・2024年12月14日
・2024年12月11日
・2024年12月10日
・2024年12月09日
・2024年12月06日
・2024年12月05日
・2024年12月03日
|
|
2008年08月02日13時54分掲載
無料記事
印刷用
ビルマ民主化
「もうひとつの8・8」を忘れるな! 北京五輪の開催日、中国のビルマ軍政支援停止を求めて世界各地で抗議行動
北京オリンピックが開幕する8月8日、華やかな祭典から遠く離れた世界各地で、「もうひとつの8・8を忘れるな」を合言葉にした行動が繰り広げられる。20年前のこの日、ビルマ(ミャンマー)の民主化運動が勝利目前だった。その国民の願いを武力で踏みにじった軍事政権に対する最大の支援国が中国である。米国、欧州、アジア、日本の諸都市で、在外ビルマ人と各国市民が、ビルマの人権と自由の実現への闘いに敬意を表するとともに、中国に軍政支援の停止を求めて同国大使館などに抗議する。(永井浩)
▽ビルマの「8888」
1988年の8月8日、ビルマでは学生が中心となった民主化運動が全土に拡大し、ネウィン軍事独裁政権の打倒をめざす人びとはゼネストに立ち上がった。ネウィンは退陣を余儀なくされたものの、9月18日に軍が混乱収拾の名目でクーデターを起こし、国軍の無差別発砲によってデモに参加していた非武装の市民数千人が殺された。以後、新しい軍事政権、国家法秩序回復評議会(SLORC)が実権を掌握し、現在にいたるまで権力の座に居座りつづけている。
1980年代の後半、アジアでは民主化を求める人びとの声があちこちで沸きあがった。ビルマの2年前の86年には、フィリピンで「2月革命」が起き、ピープルパワーと呼ばれる民衆の非暴力行動がマルコス独裁政権を打倒した。韓国では87年、軍事独裁政権に対する長い闘いが「民主化宣言」となって実を結んだ。89年には、共産党独裁下の中国の学生たちが民主化を叫んで北京の天安門広場でハンストに入ったが、戒厳軍の実力行使によって鎮圧され、多くの死傷者がでた。
東ヨーロッパの国々でもやはり80年代の終わりごろから、「民主革命」によって親ソ社会主義政権がつぎつぎに崩壊していく。そのクライマックスが、89年の「ベルリンの壁」の崩壊だった。これを受けて米ソ首脳は、第二次大戦後の国際社会をおおきく規定してきた冷戦の幕引きを宣言、さらにそれが2年後の91年のソ連崩壊という予期せぬ政治的大ドラマへと発展していく。
これらの国々がその後たどった道はさまざまだったが、大筋においては政治的自由の拡大と経済発展だった。中国はいまだに共産党の一党独裁政権下で民主主義と基本的な人権は保障されていないが、経済面では市場経済のグローバル化の波に乗って「世界の工場」としてめざましい高度成長をつづけている。政治の遅れの象徴のひとつがチベット問題であり、経済的成功のそれが北京五輪である。世界各地からトップクラスのアスリートを迎え入れる晴れ舞台は、後者なしにはありえず、またとない国威発揚の機会である。
このようななかで、一国だけいまだに異様なすがたをさらしつづけているのがビルマである。軍政はその後、国家平和発展評議会(SPDC)と改称したが、国民は平和と発展とは無縁の暴力支配と極貧の生活をしいられている。民主化運動の指導者アウンサンスーチーは、3回にわたり計12年以上におよぶ自宅軟禁におかれたままである。民主化勢力は徹底的な弾圧をうけ、昨年9月には軍政打倒のデモに立ち上がった88世代の活動家と僧侶らが軍と警察の武力行使で命を奪われたことは記憶にあたらしい。
軍政指導者らのグロテスクな素顔があらためて世界中にさらされたのは、今年5月にこの世界の最貧国のひとつを襲った史上最大のサイクロン被害への対応である。死者だけで7万人をこえ、国連によると家屋や土地などを失った被災民は240万人にのぼった。にもかかわらず、軍政は国際社会からの緊急支援を約3週間も拒みつづけた。 しかも、被災者救援よりも、軍政の支配を永続化させる新憲法草案の国民投票を優先し、国際社会の批判をかえりみず強行した。サイクロン被害の拡大が未曾有の自然の猛威によるものだけではなく、人災的な要因に負うところが大きいといわれるゆえんである。
▽軍政の最大の後ろ盾は中国
世界の人々が北京五輪の開幕の日に、あらためてビルマの民主化への支援を呼びかけ、中国への抗議行動を起こすのは、たんなる月日の一致だけが理由でない。ビルマの“失われた20年”と中国が無関係ではないからである。中国はビルマ軍政の最大の支援国である。
人権・民主主義抑圧にたいする国内外からのきびしい批判にもかかわらず、軍政を延命させているのは天然ガスをはじめとするビルマの豊富な資源と、それをめぐる中国、インド、タイなど周辺国の争奪戦である。なかでも中国は最大の天然ガス輸入国であるだけではなく、ビルマ経由でインド洋進出を可能にする港湾などのインフラ整備に多額の援助をおこなっている。軍政指導者は周辺国を競わせて自らの利権をふくらませると同時に、資源の切り売りで稼いだ国家予算を医療や教育よりも反政府勢力弾圧のための暴力装置に重点的に配分している。中国はビルマに多くの武器を売っている。
国連安保理におけるビルマの人権問題討議に横ヤリを入れているのは中国とロシアである。一方、軍政はサイクロン被災に対する国外からの支援を拒みながら、中国にだけは入国を認めた。
「中国のビルマ軍事独裁政権へのてこ入れがなければ、今日(8月8日)は、国民のとどまることのない悲劇を想起するよりも、人々の勝利を祝福する日になっていたかもしれない」(タイにあるNGO「Altsean」)のである。
▽日本でもデモ行進や集会、
この日、米国ではビルマの民主化を支援するNGO、米国ビルマキャンペーンが中心になって、ニューヨーク、ロサンゼルス、ダラス、サンフランシスコで、中国の対ビルマ政策の変更を求める行動を展開する。20年前の民主化運動の活動家や軍政下の祖国を逃れたビルマ人や米国市民が国連の中国代表部や各都市の領事館へむけて行進し、沿道の人々にビルマ問題への理解を訴える。 カナダのトロント、オタワ、バンクーバーでも中国領事館への行進、キャンドルサービス、展示会などが予定されている。
欧州では、英国、フランス、ベルギー、スイス、オーストリア、チェコで、アジアではタイ、フィリピンで同じような行動がおこなわれる。
東京では在日ビルマ人共同実行委員会(JAC)がビルマ民主化への支援を呼びかけるデモ行進。翌9日にはビルマ市民フォーラムの集会で、ビルマ人女性活動家キン・オーンマーさんらがビルマの現状について話す。
|
転載について
日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。
|
|
1988年9月、軍の武力弾圧で傷つくビルマ市民
|