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特集天木直人の「直言/異見」武力と財力によって「正義」を押し通そうとする風潮がますます強まる現代世界。「それはおかしい」という声は、勇ましい進軍ラッパにかき消されがちだ。そんな世相をどう見るか。米国のイラク攻撃を支持した小泉首相に異議申し立てをして外務省から事実上解雇処分された、天木直人・元駐レバノン大使(現・外交評論家)の声を聴いてみたい。氏が「社会新報」に連載したコラム「反骨魂」はじめ、さまざまなメディアに発表した文章を随時紹介する。 反骨魂(最終回)今を生きるカサンドラに乾杯! 今回で私のコラムも最終回となる。このコラムを書き始めた時から最終回にふさわしいテーマをずっと考えてきた。いくつかのふさわしいテーマが既に私の頭の中に集まっていた。後はどれを選ぶかだけだ。限られた字数の中でいかに表現しようか。そう思っていた私の前に突如として一つのテーマが圧倒的な迫力で現れた。最終回を飾るのはこれしかない。(2005/07/10) 反骨魂(20)がんばれノ・ムヒョン韓国大統領 米国の方針に逆らうような発言を繰り返す韓国のノ・ムヒョン大統領の評判がここにきてすごぶる悪い。といってもそれは米国政府の評判である。そして対米従属しか能のない日本政府と日本の保守メディアが、一方的にノ・ムヒョン大統領を批判しているに過ぎないのだ。(2005/06/22) 反骨魂(19)昭和天皇こそ最大の米国追従者だった? 6月1日の朝日新聞は、立教大学の中北教授と沖縄国際大学の吉次助教授が米国で公文書を発見し、終戦直後から70年代初頭にかけて昭和天皇が米国の日本占領に感謝し、米軍の駐留を称賛する数々の発言をしていた事実を明らかにしたと報じた。これが本当なら日本の戦後史は書き換えられなければならない。対米従属外交の源は昭和天皇にあったのだ。(2005/06/15) 反骨魂(18)史実を知ることの大切さ 最近一冊の興味深い本を読んだ。それは講談社アルファ文庫から2003年3月20日に発行された、「軍隊なき占領」という本だ。著者の米人ジャーナリスト、ジョン・G・ロバーツはこの膨大な書物の中で、米国の情報機関で訓練を受けたジャパン・ロビーたちが、日本の支配者たちを巧みに操縦し、日本を米国の忠実な同盟国に作り上げて行った事を証明して見せている。その一人がグラマン事件を裏で操っていたハリー・カーンである。カーンは米国との関係について岸首相への助言と援助を欠かさず、岸が亡くなるまで親交を保ったという。(2005/06/08) 反骨魂(17)小泉首相の暴走を止めるのは誰だ 小泉首相の有頂天ぶりはとどまるところを知らない。薄ら笑いを浮かべ軽口を連発する小泉首相は、権力を独り占めする余裕を楽しんでいるかのようだ。いまだかつて日本の首相でここまで好き放題を許された首相がいたであろうか。何故彼はそれほど傲慢であり続けられるのか。その責任は自民党、民主党、そして小泉首相を支持し続ける5割の愚かな国民にある。(2005/06/01) 反骨魂(16)ユダヤ人だけがホロコーストの犠牲者ではない 5月8日の朝日新聞紙上で、堀内隆という人が、ホロコーストを体験したユダヤ人がなぜ他者の残虐行為に無関心でいられるのか、という疑問を呈している。私もかねてからそう思っていたのだ。(2005/05/25) 反骨魂(15)正しいことぐらい強いものはありません 実のところ私はすっかり平和主義者になってしまった。だれよりも護憲論者になってしまった。これは、米国のイラク攻撃とその後の二年間の国際情勢を目撃し、そしてまた「戦争」と「平和」について考え続けた結果、私が最終的にたどり着いた結論である。だから、誰がなんと言おうと、もはやこの考えを曲げる事はない。(2005/05/18) 反骨魂(14)4年も経って成果がゼロの小泉政権 4月26日で小泉政権発足後丸4年がたった。本来ならば特集記事がその日の各紙をにぎわすところである。しかし内容のある記事は見当たらなかった。尼崎市で起きた不幸な列車大事故で紙面が埋め尽くされたこともあろう。郵政民営化法案をめぐる自民党の混乱に報道の関心が向けられたこともある。しかしそれだけではない。書くべき事がないのだ。4年間も続いた小泉政権に見るべき成果がないのだ。(2005/05/11) 反骨魂(13)見込みはずれの愛知万博 愛・地球博覧会が3月に始まって以来、テレビ、新聞は愛知万博報道に明け暮れている。しかし私はこの万博を好きになれない。私がカナダの日本大使館に勤務していた時の事だから、1995、6年の頃だ。万博開催地を日本はカナダと競っていた。日本政府はトヨタのために国を挙げて誘致に奔走した。その露骨な誘致合戦にカナダとの外交関係まで険悪になったほどだ。これほどまでにトヨタという会社に肩入れする日本政府、外務省に私は不快感を持ったものだ。(2005/04/27) 反骨魂(12)反日運動が小泉政権を倒す日 燎原の火のように広がる今回の反日運動を、国内の不満の捌け口に利用されているだとか、反日教育の結果だなどと言って反発するだけではおさまらない。「冷静な対応」や「未来志向」を唱えるだけは沈静化はしない。反日感情の根底にあるのは過去の歴史に関する日本の指導者の姿勢である。(2005/04/20) 反骨魂(11)兄弟仁義外交とは笑わせる 4月2日付の読売新聞が明らかにした小泉首相の決断の舞台裏は、まるで安物の映画を見ているようだ。調査団ばかり出して自衛隊派遣の決定ができない日本政府に、「これで12回目だぞ。やる気はあるのか」と米国は不満をぶつけた。慌てた日本の調査団は、市民が飲んでいた汚れた川の水のサンプルをサマワから持ち帰って小泉首相に報告した。「治安が安定し、他国が復興支援をしていないのはサマワだけです。市民も歓迎してくれました」。小泉首相は黙ってうなずいた。(2005/04/13) 反骨魂(10)一枚40億円の公電 現地の日本大使館から東京の外務本省へ発出する電報を外務省用語で公電という。外務本省が受け取るおびただしい数の公電には、おのずとその価値に違いがある。その価値の違いが天と地の開きにまで分かれることがある。その違いはどこから来るのか。米国の政策を批判しそれに追従する政策を咎める電報は評価されず、米国を喜ばせる政策を進言する電報は歓迎されるのだ。(2005/04/06) 反骨魂(9)イラク問題を風化させてはならない イラク戦争が始まってから丸2年が過ぎた。1月末の国民選挙までは大騒ぎをしていたのに、それが終わってからの世間の関心の低さはどうだ。それもこれもイラク情勢に関する報道がめっきり減ったからだ。(2005/03/30) 反骨魂(8)日本を暗黒時代に戻してはならない 寡聞にして横浜事件というものをはじめて知った。戦時中の1942年7月、富山県の旅館に宿泊した中央公論社編集者や朝日新聞記者らが、「共産党の再結成のためだ」として神奈川県警特高課に治安維持法違反で検挙された事件だ。多くが終戦直後に懲役2年、執行猶予3年の判決を受けた。獄死者は4人。今では元被告は全員他界している。(2005/03/23) 反骨魂(7)米国牛肉輸入問題に見る主権の放棄 ここにきて牛肉輸入に関する米国の圧力が加速している。最近の動きをざっと見てみよう。安全保障問題の協議のための外務・防衛大臣会議の席でライス国務長官は町村外相に牛肉輸入の早期再開をものすごい剣幕で迫ったという(3月5日日刊ゲンダイ)。離日を控えたベーカー前駐日大使は、日本政府要人との会談のたびに「我々は米国の牛肉を食べている。特に問題はない」と圧力をかけていたらしい。ついに細田官房長官が記者会見で白状した(3月5日読売新聞)。(2005/03/16) 反骨魂(6)国家権力につぶされるライブドア ライブドア社長の堀江貴文が窮地に立たされている。若干32歳の若者がITビジネスで巨万の富を手にしたのであるからやっかみも手伝って世間の風当たりは厳しい。ましてや、「人の心はお金で買える」などと言うものだからますます反感をかう。彼への批判はプロ野球球団の買収宣言からあったのだ。(2005/03/09) 反骨魂(5)西武鉄道前社長の自殺に思う 西武鉄道の前社長である小柳皓正(64)氏が自殺した。自宅の二階で「かもい」にネクタイをかけパジャマ姿で首をつっていたという。便せん二枚の遺書には家族への感謝の気持ちなどがつづられていたという(20日付読売新聞)。主人である堤義明元会長をかばい続けることに疲れたに違いない。やりきれなく悲しい。(2005/03/02) 反骨魂(4)本物の対北朝鮮外交を始める時だ 北朝鮮外務省は10日声明を発表した。その中で6カ国会議参加の無期限中断を明言し、核兵器をつくったと公言した。それは自由を世界に拡大すると誇示した第二期ブッシュ政権の顔に泥を塗るものであった。冷静を装っている米国ではあるが、北朝鮮の今後の対応如何では硬化するかもしれない。(2005/02/23) 反骨魂(3)どこまで殺せば気がすむのか ニュースは移り気だ。選挙前にあれほど書きたてたのに選挙が終わってしまえばまるでイラクの事など忘れたかのようだ。しかし我々は、イラクで行われている米国の戦争犯罪から目をそらしてはいけない。そしてその米国に加担してしまった日本の責任を。(2005/02/16) 反骨魂(2)検察の巨悪にあらがう三井環さんがんばれ! 私が三井環さんと初めて会ったのはもう一年以上も前の事である。ある雑誌の企画で対談したのだ。イラク戦争を支持する小泉首相を批判して外務省をクビになった私と、検察幹部の不正を告発しようとして逮捕された三井さんの、いわば二人の反逆者の対談であった。(2005/02/09) 反骨魂(1)二人の涙 今月から3ヶ月にわたって連載コラムを書くことになった。その第一回を最近の報道に見た二人の涙の雑感から始めさせてもらう。その一つは「政治家の圧力によって番組改編を余儀なくされた」と内部告発したNHKの現職プロデユーサー長井暁氏が、1月13日の記者会見で見せた涙である。もう一つは1月19日の退任演説で見せたパウエル国務長官の涙である。(2005/02/02) |
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