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特集

北朝鮮はどこへ




<最終回>専門家座談会「北朝鮮の現状と展望、我々の対応すべき方向」
  「プレシアン」と「北朝鮮研究学会」は共同企画「北朝鮮はどこへ」の最終回として、韓国の北朝鮮専門家による座談会を行った。2006年7月の北朝鮮のミサイル発射から1ヶ月後のことであり、その後今年2月の6カ国協議で北朝鮮の核施設の稼動停止と重油支援などを盛り込んだ合意文書が採択されたため、情勢は座談会当時とは変わった点もある。しかし、連載で明らかにされた「変化する北朝鮮」と「変化しない北朝鮮」の分析をふまえて、専門家たちが交わした議論は北東アジアの平和と安定について今後を展望するうえで多くの示唆を与えてくれる。参加者はいくつかの見解の違いを見せながらも、米朝、南北朝鮮、日朝関係の改善にそれぞれが何をなすべきかを提言し、「北朝鮮はミサイル発射以後の情勢変化を傍観しながら突破口を模索するだろう」という点では意見が一致している。(2007/05/30)

<28>映画で表現される経済政策 社会文化編(10) 
 北朝鮮映画が経済問題をテーマに力を入れている。映画が経済を主題にしたことは過去にもあったが、現在のように集中的に経済問題を扱うのは珍しい。それだけ経済問題が重要になったという証拠でもある。テーマも直接的なものになっている。映画というジャンルを通じて自然に見せるというよりは、人民に対してテーマを繰り返し強調するのが北朝鮮式だ。そこからは、経済政策の方向性がはっきりと見えてくる。テーマが先にあって、それを映画で表現するというのが現状である。(2007/04/06)


<27>女性の権利抑圧する「母性イデオロギー」 社会文化編(9)
 韓国から見た北朝鮮の女性は、「南男北女」と言われるように、美女軍団から最近 CMに登場するチョ・ミョンエにいたるまで、主として「伝統的な女性のイメージ」で描かれている。北朝鮮の女性を、このように性的な対象としてのみ見るのはいかがなものか。新たな「統一時代」に備えている今、北朝鮮女性の正しい姿を描いてみるべきだ。1990年代の食糧欠乏と住民脱北、外貨稼ぎなど住民たちの積極的な生活の営み、そして2002年の 71経済管理改善措置など北朝鮮社会の一連の変化は、女性の生活と意識を急激に変化させた。家庭と社会が活動舞台だった女性が、経済の主体になり始めたのだ。それは、非常につらく厳しかった生活の転換点となった。一人の労動者、そして子供の母親として生きてきた彼女らの生活に、変化の風が吹き始めている。(2007/04/04)

<26>新世代の価値観の変化は肯定的か、否定的か? 社会・文化編 (8)
 韓国社会では今の若い世代についての評価は否定的なことが多い。理由は物質的不自由を知らずに育ち、既存の秩序に従うことなく自由だけを声高に主張する新しい道徳観と価値観を持つ者たち、もしくは過度に感性的思考で行動し、伝統的価値観を拒否する一方で西欧文化を模倣している者が目立つからだ。北朝鮮社会にも「新世代」は存在する。しかし、建前上は韓国社会のそれとはまったく概念が異なる。北朝鮮の文献のなかの「新世代像」は、「主体思想のもっとも熱烈な信奉者、擁護者」「党の頼もしい戦闘部隊、革命の継承者、党の近衛兵、決死隊」である。また彼らの目標は党と首領の志を仰ぎ、社会と集団、祖国と人民のために献身し、犠牲にもなれる「主体型の共産主義革命家」になることである。(2007/03/24)

<25>映画に映る社会の雰囲気の変化 新世代を意識した試みも 社会文化編(7) 
  体制が違うため当然の話だが、年間40本製作される北朝鮮の映画は、韓国の映画と似て非なるものである。大衆にとって重要な娯楽であるのは同じだ。しかし、異なるのは北朝鮮の映画の一次的な役目が政治的メッセージであるという点である。最近の政治的なテーマは「先軍」であるといえる。しかしよく見ると、メッセージの伝達方法やテーマに、過去とは異なるいくつかの特徴を見出すことができる。一方、外国映画の開放に対する姿勢も著しく変化している。オープンなルートではないが、韓国の映画やドラマが徐々に広がる傾向にある。(2007/03/23)

<24>テレビの主人は最高権力者か視聴者か 社会文化編(6)
  2002年と 2006年の6月、韓国では人びとがワールドカップに熱くなっていた。ベスト4になった2002年と、ベスト16を目前に挫折した2006年、韓国での応援の様子は、朝鮮半島全体を揺るがすほど力強かった。韓国の人口の約半分に当たる2000万人以上が、テレビを通じて韓国チームの試合を見たのである。サッカーは南北朝鮮の両方において「国技」に定められ、金正日総書記も「スポーツではサッカーが基本である」と述べている。では、韓国が熱くなっていたその時、北朝鮮の人びともテレビでワールドカップの試合を見ていたのだろうか。(2007/03/18)


<23>住民の価値意識の変化 社会文化編(5)
 価値意識とは人間の欲求を認識する体系であるといえる。すなわち、人々が生活するうえで、ある対象やある行為に対して価値があると考える特定の状態を好む包括的な傾向を指すからだ。価値を追求するのが人間の本質だとすれば、その社会において支配的な価値を知ることは、社会の構成員が追及する行動の変化を理解する一助となる。(2007/03/13)


<22>刑法改正と北朝鮮社会の変化 社会文化編(4)
 北朝鮮で最初の刑法は「朝鮮民主主義人民共和国刑法採択に関して」という政令により1950年 3月 3日に定められた。現在の刑法の根幹は 1974年に制定された社会主義刑法にある。 (2007/03/09)


<21>金正日時代の保健医療体制の「三重奏」 社会文化編(3)
 無償治療制度は、自他ともに認める北朝鮮の公式保健医療制度だ。また金日成、金正日時代を通じて、北朝鮮が一番胸を張る社会制度のひとつである。しかし現実には、無償治療制度はすでに1990年代初めから内部亀裂が発生していた。亀裂は、最初は部分的な麻痺から始まった。つまり経済難、食糧難、外貨不足、エネルギー不足という悪条件と重なり、苦難が長期化することによって医療は崩壊していった。金正日時代における北朝鮮の保健医療体制は、本来の機能を果たしていない。これは昨日今日に始まった問題ではなく、短期間な回復が望める問題でもない。(2007/03/08)


<20>北朝鮮の都市と住居生活の変化 社会文化編(2)
 最近、平壌をはじめ元山、咸興など北朝鮮の主要都市では、新しい変化の風が吹いている。古い歩道ブロックを取り除き、色とりどりのブロックを新たに敷き詰め、薄暗いアパートと建物の壁を塗り直して新たに飾りつけ、築数十年の安物な建物を壊して現代式の住宅と建物にするなど、都市のあちこちが華やいでいる。このように都市が生気を取り戻す様子は、建物の新築が事実上不可能となり「幽霊都市」や「死の都市」を連想させた苦難の行軍時代の北朝鮮と比べたら、注目に値する変化である。果たしてこのような変化は、北朝鮮の都市が長年の泥沼状態から脱し、新たな飛躍の段階に入った兆候なのであろうか。また、これを通じて飢餓状態をさ迷った都市住民の日常生活が大きく良い方向に進むことができるのだろうか。変化の様子を挙げながら、その意味を分析してみたい。(プレシアン特約)(2007/03/07)

〈19〉革命精神の緩みものぞく 文学作品から見た北朝鮮の変化 社会文化編(1)
  ハン・ウンビンの「二度目の再会」(朝鮮文学、1999年)は、体制が次第に崩壊に向かっていくという考え方は「木の葉一枚を取り上げて木全体が枯れ果てていくように騒ぐことを好む西洋世界が好きな見方」であると書いている。「すべてのものが不足し、難しい状況であるが、私たちは何も失わなかった。変わらず一つの軌道に沿って流れている私たちの生活、私たちの生活…。道端では街灯の明かりと路面電車、自動車のヘッドライトの光の中で『今年を強盛大国建設の偉大な転換の年として輝かせよう!』というスローガンが生き生きと力強く目立っている…。廊下では一軒一軒の門すべてを叩きながら 『診療所に早く行って予防注射を打ってください!』という声がひっきりなく聞こえ、だんだん遠くなっていく」 (プレシアン特約)(2007/03/03)


〈18〉【韓国識者座談会】市場経済はなお「かごの中の改革」か 中国への依存に憂慮の指摘も
  北朝鮮は変化しているのか? だとしたら、最終的に何を目指しているのだろうか? 7・1経済改善措置(北朝鮮が2002年7月1日付で発布した「経済管理改善措置」、通称「7・1措置」)が発令されたからの北朝鮮の一連の経済改革をめぐって、韓国ではさまざまな視点で分析されている。ある人は北朝鮮が改革解放を通じて資本主義の道に進むだろうと推測し、またある人は現在の動きにそのような目的はないと断定している。プレシアンと「北韓(北朝鮮)研究学会」の共同企画「北朝鮮はどこへ」の経済編を終えるにおいて、専門家の座談会を開いた。2006年5月26日にプレシアン本社で行われた座談会には、クォン・ヨンギョン統一教育院教授、チョン・グァンミン国際問題調査研究所専任研究員、ユ・ヨング社団法人ヒュンダイ社研究所理事長が参加した。司会はパク・インギュ=プレシアン代表。(プレシアン特約)(2007/03/02)


〈17〉米国の推測より少ない実際の外貨不足 過大視されている経済制裁の効果
 北朝鮮は「自立経済」というスローガンのもとに他国に依存しない経済を自負しているが、現実を見る限りではそれに同意しかねる。旧ソ連の崩壊に伴い工業生産の減量や資本の大部分を依存していた北朝鮮経済は、90年代に落ちるところまで落ちてしまった。北朝鮮が「自立経済」を維持していたのなら、ソ連崩壊はこれほど大きく影響しなかったはずだ。かつて北朝鮮の貿易の半分以上は対ソ連貿易であり、その上、ソ連からの輸入品は国際価格より安い「友好価格」で取り引きされてきたのだ。(プレシアン特約)(2007/02/21)

<16>改革開放に向けた法整備進む 相続法制定で住宅の相続も可能に
 2000年以後、北朝鮮は経済の改革・開放を制度的に裏付けるための経済関連法規の制定及び改定作業に本格的に取り掛かった。もともと北朝鮮の法律の半分ほどは経済関連の法律だが、最近制定または改定が確認された法律だけで39にのぼり、その内訳は経済・科学分野が23、社会分野が6と、経済分野に集中している。(プレシアン特約)(2007/02/08)

<15>中国の狙いは北朝鮮の「安保基地化」か 中朝経済関係を読み解く第三の視点
   北朝鮮と中国の経済的な関係の拡大について憂慮を示す見方がある一方で、北朝鮮経済の改革と開放を早めることができるだろうという期待感もある。中朝の経済関係に対する憂慮は、北朝鮮が中国に従属し、南北関係や統一以後の朝鮮半島情勢に不利な影響を与える可能性があるという論理によるものだ。中国の経済力の伸長による国際社会における地位の上昇や攻撃的な対外政策、そして東北地域の振興計画推進などを勘案すると、中国には北朝鮮を安全保障と経済のための「基地化」しようとする戦略的意図があるのでは、という疑いが生じる。(プレシアン特約)(2007/01/18)

<14>「東洋のユダヤ人」温州商人が平壌に現れた 深まる消費財の中国依存
  2002年 の7・1 措置以後、北朝鮮の流通部門でも重要な変化が現われた。その中のひとつが 20003年に実施された農民市場の総合市場への改編だった。このような転換の背後には、 非公式的市場の制度化と国営商業網の正常化、国家納付金の取り立てによる財政再建、慢性的な消費物資不足の解消といった政府の意図が存在する。ところが北朝鮮で流通する消費財の80% 以上が中国産だということは北朝鮮が自ら消費物資を生産・供給する力は相変らず脆弱だということを反証している。(2006/12/20)

<13>実利が経済活動のバロメーター 経済管理システムに変化 平壌には 「輸入物資交流市場」も
2002年7月に北朝鮮政府が社会主義経済管理改善措置を発表してから4年が経った。物価の引き上げや供給不足など国家の計画経済の統制が緩んだことによって潜在的な問題が表面化した否定的な現象と、機関や企業所の独立制実施によって実利が経済活動の中心指標となって効率が向上するという肯定的な現象が同時に存在・交錯している。(プレシアン特約)(2006/12/08)


<12>米朝・日朝国交回復なしには不可能な貿易拡大の夢
  今年4月21日、平壌羊角島ホテルでのことだった。筆者(キム・ボグン)は、偶然ホテルのロビーで○○貿易の金代表と会った。筆者はハンギョレ統一文化財団を通じて、今年平壌に子供の教育用ノート工場を建設するために、4月18日から22日までの日程で北朝鮮を訪問していたのだ。あれこれ話をしたあと、金代表は意外な言葉を口にした。「私たちはいつまでもこんな生活は送りません。今は私たちと貿易をするにあたっていろいろと不便なこともあるかと思います。でも、今後は変わっていくでしょう。私は今、貿易の仕事をしていますが、私の夢は貿易会社をたくさん作り、より多くの人たちが働けるようにすることです」(2006/11/29)

<11>供給量不足で配給制は困難に 闇市場に頼る住民に価格高騰が追い討ち
  北朝鮮政府は、金日成主席の死亡直後から金正日総書記の公式就任直前まで、1995─98年の厳しい経済難の時期を「苦難の行軍」と呼んでいる。食糧も生活必需品も国家による配給が全く成り立たなかった時期という意味である。正確な実態は把握されていないが、何十万、何百万と言う大規模な餓死者が発生した「歴史の悲劇」として記録される時期だった。今年に入って配給量はかなり減少したと伝えられ、平壌の場合1〜2月には配給が正常に行われたが、3月には遅配されており、4月に配給されたのは10日分だけだった。(2006/11/13)

<10>点に留まる経済特区、線・面へと拡大するか?
  北朝鮮が経済的に西側資本を受け入れ始めたのは1970年代初〜中盤からと見られる。これを開放1期ということもある。この時期には大規模な西側の資本を誘致しながら経済発展を図ったが、2次にわたったオイルショックと国際的な原材料価格の急変などで、北朝鮮には債務不履行という不名誉が残された。第1期は資本に対する開放、第2期は企業に対する開放であったとすれば、北朝鮮は1991年から地域に対する開放を始めた。羅津・先鋒自由経済貿易地帯を設置し、外資誘致に力を注いだ。この時期を開放第3期とすることができ、それは現在でも続いている。(2006/11/06)

<9>経済改革で解き放たれた消費への欲求 プラス成長とともに深刻なインフレ
  北朝鮮が2002年に着手した「7・1措置」は、経済活動の分権化、貨幤化、市場化を目指す経済改革政策として国営企業及び協同農場の経済管理体系、分配制度、価格制度、財政、対外経済制度など、すべての経済分野にわたって施行された。「計画」にだけ頼っていた経済運用体系に「市場」の要素も加えてようとする改革措置だった。改革はすべての改革政策がそうであるように、改革の苦みと甘みを同時にもたらし、過去3年間の損益を判断するのが難しいほどの激変を起こしている。(プレシアン特約)(2006/10/05)


<8>実利よりも威信重視 大国間の葛藤を活用したゲリラ外交で小国の国益追求
  外交政策というものは、国家ごとにスタイルが決まっている。それぞれの国家が異なる歴史と文化、政治・経済・社会構造を持っているという事実は、各国家の外交政策の傾向、目的、戦略は異なるのが当然であることを意味している。北朝鮮も特殊な地理的環境、政治文化、そして歴史的経験から生まれる独自の戦略文化を持っており、その戦略文化に基づいた独特の外交スタイルを持っている。北朝鮮の核問題を巡る米朝間の緊張と葛藤を解消するための第一歩は、相手の戦略文化を理解する努力にあるのではないだろうか。(プレシアン特約)(2006/09/23)


<7>党の相対的な弱体化、軍・内閣の地位向上 金正日時代の指導体制
 北朝鮮の政治体制は、党─国家体制という性格を持っている。北朝鮮憲法11条は、国家機関に対する党の指導を明らかにしており、党規約46条は、人民軍に対する党の指導を明文化している。かつて北朝鮮は、実際に党の中央委員会と中央人民委員会を通じて、党の指導を体系的に行っていた。システムとしての党の指導を通じて、国家機関と人民軍を統制していたのだ。しかし金正日時代に入り、党の指導の核心となってきた党中央委員会が、ここ10年以上の間機能していない。(プレシアン特約)(2006/09/15)


<6>北朝鮮の核能力は果たしてどの程度なのか? 核兵器を実質的に保有の可能性
  北朝鮮が核兵器保有を公式に宣言してから1年が経ち、寧辺の核施設に対する国際原子力機関(IAEA)の査察が腰砕けに終わってから3年が過ぎた。しかし昨年の9・19共同声明以後、北朝鮮核問題の平和的解決のための6者協議は相変らず足踏み状態のままである。北朝鮮は、今この瞬間にも国際的制裁をまったく受けることなく、寧辺の5MW黒鉛炉を100%運転し、1年間で核兵器1基分のプルトニウムを生産している。この記事では、北朝鮮の核開発能力、すなわちプルトニウム保有量はいくらなのか、核爆弾製造に必要な起爆装置開発に成功したのか、核弾頭のミサイル装着可否など北朝鮮の核開発能力と開発計画の検証、および廃棄することの重要性について、関連する資料に基づいた筆者の分析を整理してみたい。(プレシアン特約)(2006/09/07)


<5>後継者の準備を本当にしているのか? 注目される第7次党大会
  金正日(キム・ジョンイル)総書記が 2002年に還暦を迎えて以来、国内外のマスコミでは金正日総書記の後継者問題が関心の的になっている。2000年代に入って北朝鮮軍の内部資料が公開されたり、総書記の板前だったという日本人藤本健二氏の本が出版されたりしたことにより、これまでは単なる「仮説」にすぎなかったことが、新たな様相を見せている。これまでは「金正男(キム・ジョンナム)と金正哲(キム・ジョンチョル)の後継者争い説」、「金正哲浮上説」、「金正哲の後継ぎ確定説」「金正雲(キム・ジョンウン)後継者浮上説」など多様な説がもっともらしく繰り広げられてきた。概して、金正日の息子が後継者になるであろうという分析が多かった。(2006/09/01)

<4>金正日の先軍政治は不動のものか 安保を脅かす要因の消滅で終焉に
  金日正総書記が先軍政治を始めてからいつのまにか 10年が過ぎた。今では「北朝鮮」「金正日」「先軍政治」という単語を切り離し、「先軍政治」のない北朝鮮を想像するのは難しくなっている。北朝鮮の政治体制はもちろん、北朝鮮の日常生活を理解するためにも先軍政治は欠かすことができないキーワードとなった。先軍政治は 「新しい政治方式」から 「新しい革命理論」へ、主体思想に劣らない 「新しい思想」へとたえず派生しながら広がっている。「主体思想一色化」を連想させる「先軍思想一色化」というスローガンまで登場した。(2006/08/23)


<3>主体思想の未来は? 「改革・実利」思想を正当化するための「骨董品」に
  北朝鮮の公式イデオロギーは、今も変わらず主体思想である。朝鮮民主主義人民共和国憲法にも、朝鮮労動党規約にも、主体思想は指導思想として明示されている。 しかし現在の主体思想は影響力や支配力でかつてに及ばない。むしろ今、北朝鮮における主体思想は 「引き出しの中の骨董品」であるといっても過言ではない。(2006/08/15)

<2>反体制・改革勢力は存在しないのか  パワーエリートたちの実像
  北朝鮮の体制の特徴として、首領唯一支配体制が挙げられる。主体思想の基本をとなっているのも まさに「革命的首領観」である。首領は絶対的権威であり、北朝鮮のすべての住民を統治する。そして首領と住民の間の伝動ベルト(用語解説参照)役を担うものとして、朝鮮労動党が存在する。ここでいう朝鮮労動党とは、組職と党員を意味する。朝鮮労動党党員についての正確な統計は明らかにされていないが、おそらく200万から300万人ほど存在すると推算されている。(プレシアン特約)(2006/08/09)

<1>北朝鮮の悩みと努力の実像を知ろう(下) 情報の「受け手」から「送り手」へ
  民間レベルの北朝鮮情報へのアプローチ拡大は、国内的な意義に留まらない。冷戦の時代には北朝鮮関連情報の海外依存度が高かった。すなわち、米国や日本などの外国人は、われわれよりも相対的に自由に北朝鮮を訪問したり北側の人と接触することが可能であり、そういった情報にはプレミア性があった。このためわれわれは第三国の政府と研究機関、研究者の北朝鮮情報と分析に頼る傾向から脱することが難しかったのだ。しかし、南北政府関係の改善および民間レベルの交流・協力の拡大は、韓国の北朝鮮情報と分析能力を一気に引き上げている。(2006/08/03)

<1>北朝鮮の悩みと努力の実像を知ろう(上) 北東アジアの未来の平和と繁栄をめざして  
  北東アジアが平和と繁栄の道に進んでいくのか、それとも破局に向かうのか、その鍵を握っているのが北朝鮮である。だからこそ私たちにとって今もっとも大切なことの一つは、この閉ざされた国の実情をできるだけ正確に把握することであり、悪意に満ちたセンセーショナルなレッテル貼りをすることではない。また米日の研究者などとは異なる視点で、わが隣国で何が起きているのかを知る必要もある。このような問題意識にもとづいて、日刊ベリタは韓国の代表的なネットメディア、プレシアンの連載「北朝鮮はどこへ」を紹介する。連載は、冷戦思考から解放された「6・15時代」にふさわしい「未来志向的認識を民間主導で提示したい」との目的から、韓国の北朝鮮専門家350人が参加する「北朝鮮研究学会」関係者の議論をふまえて今年4月から開始され、現在連載中である。(日刊ベリタ)(2006/08/02)








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